暮らし

新井崇文新井崇文

キッチンとダイニングテーブルがつながる家はメリットいっぱい、忙しい家族に向くレイアウト

ダイニングテーブルとつながるキッチン

家づくりにおいて、キッチンとダイニングのあり方は大切なテーマです。その際、ぜひ一度検討してほしいのが「キッチンとダイニングテーブルをつなげる」という選択肢。家事、子育て、リモートワークにまつわるわずらわしさを軽減してくれる、忙しい家族にとても頼もしいレイアウトなのです。

建築家の新井崇文さんが、自身の設計した実例を交えながら、そのメリットを解説します。

キッチンとダイニングテーブルを「分ける」「つなげる」それぞれのメリット

キッチンとダイニングの様子

キッチンとダイニングテーブルは一般的に分かれています。そのメリットをまとめてみます。

キッチンとダイニングテーブルを分けるメリット

  • キッチン内部が見えづらくなり、散らかっていても目立ちにくい
  • キッチン手前に立ち上がりを設ければ、シンク回りが雑然としていても隠せる
  • ダイニングテーブルの形が自由に選びやすい
  • ダイニングテーブルの四方を囲んで座れる

ダイニングとつながるキッチン

こうしたメリットを捨ててまで、キッチンとダイニングテーブルをつなげてみると、なにが変わるのか。新たなメリットを以下にまとめてみましょう。

キッチンとダイニングテーブルをつなげるメリット

  • 配膳や片づけの動作がラクになる
  • 食事の準備や片づけのスペースとしてダイニングテーブルも活用できる
  • 「つくる」と「食べる」の距離が近い。ゆえに、パーティなどで「つくる」人と「食べる」人が同じ輪で会話しやすい
  • 子どもに食事をさせながら、並行して食事の準備ができる
  • ダイニングテーブルで遊んだり勉強したりする子どもの様子を見ながら、キッチン作業がしやすい

メリットが見えてきたところで、次に「キッチンとダイニングテーブルをつなげる」具体的な事例を見ていきましょう。

事例1.壁一面の扉収納で、オープンキッチンを散らかさない

壁収納があるキッチン

このお宅はLDKが広がりあるワンルームとなっていて、デッキテラスの中庭に面しています。

シンクとダイニング

キッチンはシンク台キッチン(手前)とコンロ台キッチン(奥)とに分かれた2列型。このうちシンク台キッチンとダイニングテーブルがつながっています。ダイニングテーブルはシンク台キッチンと幅を合わせて製作しています。

キッチンサイドにコンセント

一般的にシンク台キッチンが高さ85cm前後なのに対して、ダイニングテーブルは高さ70cm前後。15cm程度の段差が生じますが、むしろその段差を生かして、電源コンセントや照明スイッチ等を設置することができます。卓上でホットプレートを使うときなどに便利。

便利なキッチンとつながるダイニング

シンク台キッチンとダイニングテーブルが連続。おかげで、ダイニングテーブルまでを調理スペースや配膳スペースとして使うこともできます。

壁収納

キッチンとダイニングテーブルがつながっていると、キッチンの中まで丸見えになるので、きれいに保つための収納が大切になります。この家ではダイニングテーブル脇の壁面が3枚引戸の収納となっています。

収納のキッチン側の扉を開ける

引戸を開けると、キッチン側は食器や食材を入れるスペース。中段の幅広のスペースには電子レンジやトースター、炊飯器などを収納できます。

逆の収納扉を開ける

その逆は、可動棚の収納スペース。ダイニングテーブルで使う書類や書籍、雑貨などを収納できます。

事例2.キッチンダイニングとデスクスペースをコンパクトにまとめる

広がりあるLDK

では次の事例を。この家もLDKが広がりあるワンルームとなっていて、デッキテラスの中庭に面しています。

2列型のキッチン

先ほどの事例と同じく、キッチンはシンク台キッチン(手前)とコンロ台キッチン(奥)とに分かれた2列型。シンク・コンロが一列となった一般的なキッチンに、さらにダイニングテーブルをつなげるとかなりの長さになってしまいますが、この例のような2列型キッチンにすれば、空間と動線はむしろコンパクトになります。

動線がコンパクトなキッチン

ダイニングテーブルの奥の窓辺は、デスクカウンターをつくりつけたスペースに。勉強や仕事などのデスクワークに使えます。キッチンダイニングとデスクスペースをコンパクトに集約している、このプラン。手の届く範囲に多くの機能が集約されていて、子育て、家事、リモートワークに忙しい家族にもピッタリです。

回遊性あるキッチン

シンク台キッチンとダイニングテーブルをつなげたうえで、ぐるりとひとまわりできる動線です。両側からキッチンに入ることがOK。何人かで同時にキッチン作業をする場合もぶつかりにくくスムーズです。

奥にあるカップボード

カップボードはダイニングの奥側に配しており、中段は電子レンジ、トースターなどの置き場となっています。

キッチンからデッキテラスを見る

キッチンからダイニング越しに、デッキテラスまで視線と動線がストレートに抜けます。使いやすさと開放感のあるダイニングキッチンとなりました。

事例3.立ち上がりの壁を使って、キッチンを丸見えにしない

バルコニーに面したキッチン

最後の事例です。この家は2階にLDKがあり、バルコニー形状のデッキテラスに面しています。

I型のキッチン

キッチンはシンクとコンロが一列にまとまった一般的なI型。そのキッチンとダイニングテーブルを一直線につなげ、食事の準備や片づけがしやすいプランにしました。ただし、キッチン内部が見えにくいように、立ち上り壁を設けています。

なかが丸見えにならないキッチン

キッチンとダイニングテーブルをつなげたメリットを生かしつつも、キッチンは丸見えになっていません。

飲み屋のカウンターみたいに使えるダイニング

ダイニングテーブルはつくりつけ。キッチンの立ち上り壁の手前側にも、狭い幅でつながる形にしています。普段は飾り棚として使え、ホームパーティの際にはイスを配して飲み屋のカウンターさながらの使い方もできます。

キッチンとダイニングは別物として考えがちですが、総合的にプランしてみると意外に新しい発見があるものです。この事例を参考に、ぜひ楽しい生活をデザインしてみてください。

●教えてくれた人/新井崇文さん
新井アトリエ一級建築士事務所」主宰。横浜市在住。植栽を大切に外部から内部までトータルで考える心地よい空間デザイン、暮らしやすさに配慮した収納計画や造作家具、健康で快適な自然素材を大切にした住宅の設計を手がけている