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猫専用フローリング、ほかとなにが違う?ペット目線でつくられた驚きの性能を紹介

ネコフロアの上にいる猫

猫との暮らしを楽しむ人が増えると同時に、猫の健康や住環境に対する関心も高まっています。そこで今回ご紹介したいのは、「猫の暮らしのプロ」として猫専門グッズの企画・デザインを手掛けるRINNと、住宅設備機器・建築資材の企画開発・インターネット販売を行うサンワカンパニーとのコラボレーションで生まれた「ネコフロア」。

猫に対するまっすぐな愛情が伝わってくるネーミングの商品です。「キャット・ファースト」のコンセプトのもと、徹底して猫の目線にこだわった商品開発のポイントについてお話を伺いました。

「猫専用」であることを伝えたい! 素朴なネーミングに込められた思い

ネコフロアでくつろぐ猫

「ネコフロア」は、RINN代表取締役CEO・梁原正寛氏と、サンワカンパニー・山根太郎社長の、ドイツでの偶然の出会いがきっかけで誕生しました。

ドイツで行われた世界三大デザイン賞のひとつ「レッドドットデザイン賞」の表彰式にて、山根社長は梁原氏に「ペットのジャンルで新しい商品をつくりたい」と持ち掛けます。

RINNは、猫の健康をサポートする商品を企画・デザインする会社です。ペットの中でも猫に特化し、猫の目線を第一に考えた、猫のための商品開発が始まりました。

「ネコフロア」という商品名は、企画当初のプロジェクトネームから一貫して使われていたものです。ペット対応をうたうフローリングは他社にもありますが、猫のためだけにつくられた商品は今までありませんでした。

「ネコフロア」のネーミングには、「キャット・ファースト」のコンセプトをお客様へストレートにお伝えしたい、という思いが込められています。

猫の気持ちを知る専門家とのコラボレーション

ネコフロアの開発に関わったメンバー

今回初めて猫専用の商品に取り組んだサンワカンパニーには、これまで猫の生態や習性に関する知識がありませんでした。

そこで、サンワカンパニー企画デザイン課(写真右/現・大阪ショールームスタッフ) 細井里歩さんは、猫の暮らしのプロである梁原氏(写真左)や、猫専門病院Tokyo Cat Specialists 山本宗伸院長(写真中央)とともに企画・開発を進めます。

従来のペット対応フローリングは、歩行時の滑り防止をはじめ、引っかき傷予防、防汚加工、耐水・抗菌加工などの機能を備えているのが特徴です。その多くは室内飼いの小型犬を想定していて、イメージ画像や機能性を示すアイコンなどにも小型犬の画像が使われているものが多く見受けられます。

しかし犬と猫の特性には違いがあり、快適な環境づくりのために必要な機能も異なります。ペット対応の商品が、猫にとって十分であるとは限りません。

猫の生態の大きな特徴として、高い場所へ登ったりそこから飛び降りたり、といった垂直の運動が多い点が挙げられます。室内で飼う場合はとくに、キャットタワーやキャットウォークを設置して縦の移動を可能にし、猫の心身を健康に保つことが必要です。

キャットタワーやキャットウォークを設置

部屋のフローリングが硬いと着地の際に足腰の関節に強い衝撃がかかり、歳を取るにつれて蓄積されたダメージで猫に辛い思いをさせることになってしまいます。梁原氏や山本院長の協力のもと、猫のためにできるだけやわらかい素材を選ぶことが商品開発の大きなポイントとなりました。

猫の目線でたどり着いたのは、無垢のヒノキフローリング

フードボウルを置いた床ネコフロア

猫の目線でやわらかい樹種の素材を探した結果、最初に商品化されたのは、無垢のヒノキフローリング「ネコフロア ヒノキ」(6930円/㎡~)でした。ヒノキはやわらかいだけでなく、高い調質機能や消臭効果を持ち合わせ、猫用のトイレチップにも使われている樹種です。

無垢材であれば、接着剤などに含まれる化学物質の影響を最小限に抑えられそうですね。やわらかく傷や汚れができやすいヒノキですが、無垢材なのでヤスリがけなどのメンテナンスをDIYですることもできます。

また、耐水性や防汚性をアップする仕上げ用のオイルにも妥協がありません。無農薬・有機栽培でつくられたドイツ・リボス社の亜麻仁オイルを使用。猫がなめても安心・安全であることを重視しています。

さらに「くらしを楽しく、美しく。」を経営理念とするサンワカンパニーは、機能性とデザイン性の両立にこだわります。

企画を担当したサンワカンパニーの細井さんは、このように話します。「すまいにおいてフローリングは空間を占める面積が大きいため、空間イメージを壊さないデザイン性も両立させることを大切にしました」。

「ネコフロア ヒノキ」は「節あり」(左)と「節なし」(右)

「ネコフロア ヒノキ」は「節あり」(左)と「節なし」(右)の2タイプ。「節あり」は天然の木目を生かした個性的な色柄が、北欧風のナチュラルなインテリアにマッチします。「節なし」はすっきりとした見た目で、無垢の自然な風合いがリラックスできる空間をつくりだします。

続いて発表された「ネコフロア ウォルナット」(1万2800円/㎡)は、厚さ2㎜の天然木を表面に使用した挽き板フローリング。猫の滑りにくさや傷跡予防のためのブラッシング加工を施し、床暖房にも対応。重厚感のあるダークブラウンの木目で、デザイン性の高さと機能性の両立を追求しています。

「ネコフロア ウォルナット」でくつろぐ猫

「今まで猫目線でフローリングについて見ていなかったため、ウォルナットの耐久性やヒノキのやわらかさなど元々の樹種の特徴が、実は猫にも優しい特徴になっていることに驚きました」と話す細井さん。猫の目線に立つことで、思いがけず無垢フローリングのよさを再発見するきっかけになったそうです。

ものづくりへの意識がドイツでも評価された「ネコフロア」

「ネコフロア」は「iFデザイン賞」を受賞

2020年2月、「ネコフロア」は世界三大デザイン賞のひとつとされる「iFデザイン賞」を受賞しました。iFデザイン賞は、ドイツ・ハノーバー工業デザイン協会が主催し、全世界の工業製品等の優れたデザインが年ごとに選定されます。機能性・革新性・環境への配慮といった12項目の厳しい内容について審査され、デザインや見た目の美しさだけで受賞できるものではありません。

猫と人が共に快適に暮らす「新しい未来」をつくり出すという、サンワカンパニーのものづくりへの意識の高さが評価されたようです。ドイツでの出会いから始まった「ネコフロア」のプロジェクトはドイツのデザイン賞に実を結びました。

すでに猫と暮らしている方も、新しい家で猫と一緒に暮らしたいと考えている方も、フローリングの選択肢に加えてみてはいかがでしょうか。

取材協力/サンワカンパニー