家づくり

新井崇文新井崇文

リビング階段にすると「この家って楽しいな」が増える。理由と事例をわかりやすく紹介

会話が増えるリビング階段

家づくりで人気のリビング階段。家族が普段集まるスペースのすぐそばに階段があるので、互いにコミュニケーションを取りやすいのがメリットです。子どもを持つ家庭では、検討されることが多いプラン。

そんなリビング階段の特徴や魅力について、建築家の新井崇文さんが、自身の設計した実例を交えながら解説。あわせて、階段がぐっと魅力的になるアイデアも紹介します。家を建てる人、リフォームをする人は必見です。

リビング階段の長所と注意点を詳しく解説

LDKからよく見える階段室

まず、リビング階段のおもな特徴を以下にまとめてみます。

コミュニケーションについて

長所:リビングと階段が一体のようになっているので、家の上下階を行き来する際に、家族のコミュニケーションが自然と発生しやすい。とくに子どもが外出・帰宅する際に、親と顔を合わせやすい点が人気。

注意点:訪問客も家族と顔を合わせやすい。別階の自分の部屋に行く子どもと鉢合わせする、というシチュエーションもありうる。仕事関係などフォーマルな来客が多い家庭では、リビングと別に応接スペースを設ける手もあり。

音と空気について

長所:階段経由でリビング(リビングが1階のプランの場合)と2階の音と空気がつながるので、家族間で声がけがしやすく、空調効果も家じゅうに行き届きやすい。家全体の温度差が少なくなる。

注意点:家族の生活スタイルによっては、リビングと2階とで互いの音が気になることも。暖房時の暖気が2階へ上昇する代わりに、2階や階段の冷気が1階へ下りてくるコールドドラフトを感じる恐れがある。そのため、断熱と気密を高性能にして家全体を魔法ビンのようにくるむことが大切。上下階で音と空気を区分したい場合、リビング階段上部に扉を設ける手もあり。

階段の有効活用について

長所:リビングに面して階段があるので、階段に腰かけて本を読むなど、階段スペースもリビングの延長として活用できる。また、階段のデザイン生かしてリビング空間のデザイン的魅力を高めることもできる。

注意点:デザイン性を重視したシンプルな手すり形状にする場合、小さな子どもがいるご家族では落下防止への配慮が必要(仮設で落下防止ネットを設置できるようにしておくのも有効)。

では、リビング階段の特徴が見えてきたところで、次に具体的な事例を見ていきましょう。

事例1 吹き抜けのある開放的なリビング階段

中庭に面して連続するLDK

このお宅はコの字型プランで中庭を囲う間取りです。玄関から入ると中庭に面してリビングダイニング、その奥にキッチンがあります。

LDと吹き抜けでつながる階段室

リビングダイニング全体が吹き抜けとなっていて、その一端に階段が配されています。階段を上がる際には上部の障子窓やガラス窓の明るさが感じられ、階段を下りる際には中庭への広がりが感じられます。

帰宅する子どもに声をかけやすい階段

リビング階段は、当初からの住まい手の要望。「子どもが帰宅時に親と顔を合わせてから、子ども部屋へ上がっていく」という暮らしのシーンを実現しています。

吹き抜けでつながる1、2階

階段上部には本棚収納のある通路が。2階にいながらにして、吹き抜けを介して1階の様子が感じられる住まいです。

事例2 リビング階段下に収納スペースを設ける

LDKと吹き抜け、階段が一体に

このお宅は、玄関から入ると中庭に面してワンルームのLDKがあります。リビング部分はコンパクトなサイズの吹き抜けに。そこに階段があります。

階段下のテレビ収納

リビング階段の下のスペースを利用して、テレビや収納を配しています。

2階の子ども部屋へ声を届ける階段

キッチンから2階の子ども部屋に「ご飯だよー!」という声が届くように。そんな家族の一体感のある暮らしが、住まい手の希望でした。

階段を下りるとデッキが見える

階段を下りる際には、中庭のデッキテラスと植栽が見えてきます。階段を上り下りしながら庭のうるおいが感じられる。それも、この家のリビング階段の醍醐味です。

事例3 読書スペースにも!本棚がついているリビング階段

階段がダイニングのすぐとなりに

このお宅は、玄関ドアを入ってすぐに、ワンルームのLDKとなっていて、リビング階段が隣接しています。

壁で縁取られる階段

垂れ壁(天井からの下がり壁)と袖壁(左右の小壁)で縁取られた向こうに、階段がある構成。「連続した空間だけれど、ちょっと別の世界に行く」みたいな楽しさをイメージしながら、設計しました。

階段のおかげでLDKの居場所が増える

住まい手は、もともと来客の多い家族。この家ができてからも、ますます近所の友人たちが家族ぐるみで頻繁に遊びにくるようになったそう。大人たちがダイニングテーブルを囲む横で、子どもたちは床に座って輪になって遊んだり、階段に腰かけて本やマンガを読んだり。さまざまな居場所で気ままに過ごし、楽しんでいるようです。

階段の途中にある本棚

階段の途中には、壁に埋め込む形で本棚をつくりつけました。これがあるだけで、階段が読書スペースの雰囲気に様変わりします。

階段を下りる

階段を下りると、徐々にダイニングテーブルが見えてきます。

階段から中庭が見える

さらに下れば、目隠しされていた庭の緑が目に入ってくる仕掛け。階段を上下するというなに気ない行為すらも、緑のうるおいや家族の温もりを感じる機会になります。

階段のあり方は暮らしの雰囲気を大きく左右する要素です。リビング階段はあくまでひとつの選択肢ですが、これを参考に楽しい暮らしのワンシーンを思い描いてみてはいかがでしょうか。

●教えてくれた人/新井崇文さん
「新井アトリエ一級建築士事務所」主宰。横浜市在住。植栽を大切に外部から内部までトータルで考える心地よい空間デザイン、暮らしやすさに配慮した収納計画や造作家具、健康で快適な自然素材を大切にした住宅の設計を手がけている