家づくり

古川泰司古川泰司

木の家づくりの基本「火事に弱いのは本当?」「燃え広がりにくくするには?」

木の家

温もりがあって、親しみのある木の家。じつは地震に強くて、長持ちもすると聞きますが、はたして、火事についてはどうでしょう?

「木の家に住もう。」(エクスナレッジ刊)の著者で、一級建築士の古川泰司さんが、木の家と火事に関して解説。木の家だけが特別に火事に弱いというわけではないこと。そして、燃え広がりにくい家を建てるために気をつけたいことがわかります。家づくりやリフォームの参考に。

火事で最初に燃えるのは、家の中のもの。木の家が特別に弱いわけではない

火事

木は燃えます。しかし、燃えるからといって、火事に弱いと思うのは、大きな誤解。火事の際にいちばん大事なのは「人の命を守る性能」。そう考えると、木の家は決して弱いわけではないんです。説明していきましょう。

ひと口に火災といっても、建物の燃え方には2通りあります。ひとつは「建物内部のモノが燃える」。もうひとつは「建物自体が燃える」です。最初に燃えるのは「建物内部のもの」。そこから燃え広がって「建物自体」が燃え始めるのです。

そもそも火災では、建物が燃える前の避難と消火が最重要。建物自体が燃える前に、安全な場所に避難できることが先決です。これに関しては、鉄骨造や鉄筋コンクリート造と木造の建物の条件は変わりません。

カン違いしてない?火災で家が燃える仕組み。怖いのは焼死より中毒死

火災で怖いのは、燃え盛る炎による焼死より、有毒ガスの発生による中毒死です。もし、火災により発生する一酸化炭素の濃度が10%になれば、人間はひと呼吸しただけで死んでしまいます。

木の家自体は、一気に燃えなければ多量の一酸化炭素を発生しません。しかし、家の中にある石油精製品(プラスチックなど)が燃えれば中毒死の危険が高まります。やはり、家の構造より中身が問題だということです。

日本の消防システムはずいぶんとよくできていて、仮に火災が発生しても、都市部であれば通報後5~8分以内に消防車が駆けつける仕組みです。木の家でも鉄筋コンクリートの家でも、建物が燃え始める前に避難できれば命は十分助かります。あとは消防隊の手に委ねることに。

ちなみに、火災の原因第1位はタバコ。2位がたき火、3位がコンロ、4位が放火。寝室(寝タバコ)と庭のたき火にはくれぐれも注意が必要です。

火事になっても、燃え広がりにくい家にするには?

しっかりしたサイズの柱
万が一火事になっても、周りの家に迷惑をかけたくない。そのためにできることがあります。

ひとつは、木の家の素材を選ぶこと。木は比重が高いほど着火しにくくなります。つまり、「比重が高い=着火しにくい」ということ。針葉樹ならスギよりもヒノキ、ヒノキよりもマツのほうが比重が高いので、材料選びの際は、このあたりも加味すればよいでしょう。

柱のザイズも、燃え広がりと関係があります。明確に決まっているわけではありませんが、柱の太さは120×120mm以上、梁の幅は120mm以上、仕上げに使う板の厚さは15mm以上が好ましいです。

木はゆっくり燃える素材。1分間に1ミリしか燃え進みません。ですから、柱なら太い方が、板なら厚い方が安全である時間が長くなるのです。万一の火災でも周りに迷惑をかけにくくなります。

ここで、豆知識を。たとえばスギの木であれば、1分間に0.8~1mmしか燃えません。木はみなさんが思っているほど燃えやすい材料ではないのです。

最近では、燃えにくい木材というものを耳にするようになりました。木に薬剤を染み込ませた「難燃木材」と呼ばれるものがそれ。たしかに燃えにくくはなりますが、いわゆる薬漬けの木材です。したがって、薬が抜けないようなメンテナンスが必要です。

家を建てる際に、火事について備えたいこと

隣の家のキッチンから火災が発生した場合、キッチンの向かいに窓があると「もらい火」の危険が高まります。逆にこちらの火が燃え移る可能性もアップ。窓の位置は重要です。実際に家づくりの際に、近所のお宅の間取りまで把握することは難しいかも知れません。ただ、もしも検討できるようなら意識して間取りを考えてみましょう。

野地板を厚くして防火構造にした事例

戸建てを建てるなら、軒裏は30mm以上でつくりたいもの。軒の裏側に張る木の板は、30mm以上にすれば法律の要求する延焼防止性能を達成できます。写真は、野地板を厚くして、防火構造にした事例になります。

当然といえば当然ですが、消火器を置いておくといざというとき安心です。とくに火を使う部屋には、使いやすい位置におけるように場所を確保しておきましょう。

木の家についてもっと詳しく知りたいという人は、『木の家に住もう。』(エクスナレッジ刊)のチェックも!

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●教えてくれた人/古川泰司さん
1963年新潟県生まれ。武蔵野美術大学、筑波大学修士課程修了。アトリエフルカワ一級建築士事務所主宰。設計で大切にしていることは「森とつくる いっしょにつくる」。森と木を生かした「森とつながる建築」をつくり住宅医の資格を持ち、中古住宅の診断、耐震改修、断熱改修、生活改善を提案。DIYのサポートも。近著に『木の家に住もう。』(エクスナレッジ刊)がある

画像/PIXTA(上から2番目、4番目)