お宅拝見

Sumai編集部

ワークスペースのある二世帯住宅事例。80代の母もラクに家事できる工夫がいっぱい

3方向の大型窓に視線が抜ける明るく開放的なLDK

テレワークにも対応した、仕事と家事がはかどる戸建て実例を紹介します。住まい手は、多忙な時期はいつも夜遅くまで事務所で働いていたという山本さん夫妻。この家に建て替えてから、自宅とオフィスの両方で仕事ができるようになりました。同居する母のサポートに感謝しながら、家族の時間が増えたと喜びます。

写真は、3方向の大型窓に視線が抜ける明るく開放的なLDKの様子。活動的で考え方が柔軟な母は、キッチンの食洗機やIH調理器にもすぐ慣れました。

夫婦がそれぞれ仕事に集中できる工夫のある二世帯住宅

山本さんの家 千葉県 家族構成/夫50代、妻40代、長男8歳、母80代半ば
設計/中村高淑建築設計事務所+インターセクション

この家のこだわりポイント

  1. 三世代で暮らす家事がしやすい家
  2. オフィスと同じレベルで作業ができる仕事場
  3. 借景を取り入れた明るく開放的な空間
  4. 将来の暮らし方の変化に対応したプラン

東南の角地に建つ山本さんの家

東南の角地に建つ山本さんの家。以前の住まいは暗かったので2面の大型窓から光を取り入れ、木製ルーバーで目隠しするデザインに。家族4人が暮らす十分なスペースを確保するため、敷地の角地緩和とビルトインガレージ設置の条件を満たして、建ぺい率・容積率をアップさせました。

窓辺でくつろぐ母

シンボルツリーのレモンの木が見える窓辺でくつろぐ母。

東側外観

東側外観。1階右端がビルトインガレージ。隣の玄関ドア前には腰かけられるベンチを設置。

道路を挟んだ南側にあるリビングとつながる奥行き2.3mのデッキ

道路を挟んだ南側には高校のグラウンドの芝生と桜の眺めが。「家でお花見ができます」と母もうれしそう。リビングとつながる奥行き2.3mのデッキでは、借景を眺めながら食事を楽しんだり、パソコンを持ち込んで仕事をすることも。

仕事が忙しくても、家族と過ごす時間が持てる

映像コンテンツとグラフィックデザインの事務所を主宰する山本さん夫妻。80代の夫の母が元気なうちにと、築35年の自宅を本格的なテレワークができる二世帯住宅に建て替えました。

「仕事が忙しい時期はどうしても帰宅が夜遅くなりがち。小学生の子どもと過ごす時間をつくるために、オフィスと同じ作業ができる仕事場が欲しかった」と妻。家事全般は元気な母が担当しており、体に負担がかかりにくい家事動線を希望しました。

2階の夫妻のワークスペースは各部屋とオープンにつながり、ゆったりと過ごせる空間。妻は週3~4日ここで働き、終わると1階に下りて仕事のオン・オフを切り替えています。

「昼どきや夕方になると、母のつくる料理のいいニオイが下から漂ってきて。ありがたいことですね」(妻)。事務所に通勤する夫も、「いったん帰宅して子どもを寝かしつけてから、仕事の続きをしたり。家なら昼寝もできて精神的にも体力的にもラクになりました」(夫)。

職住一体の暮らしのポイントとなるのはLDK。日中ずっと明るく、向かいの借景が楽しめて気持ちが開放されます。DKでは食洗機やロボット掃除機を活用する一方で、キッチン動線を最短にし、「流れるように作業ができて、すごく助かっています」(母)。

洗濯も2階ワンフロアだけで完結。ホームエレベーター設置スペースなど、暮らし方の変化に対する備えも考えられ、安心して住み続けられる家になりました。

半透明の建具でLDKからの間接光を取り込んだ玄関

半透明の建具でLDKからの間接光を取り込んだ玄関。将来は玄関と2階ワークスペースをホームエレベーターの設置スペースに充てることも可能。

ロボット掃除機の動きがスムーズな段差のない床

玄関とビルトインガレージ以外はすべてフラットな床を採用

母の家事負担を軽くするためにロボット掃除機を活用。玄関とビルトインガレージ以外はすべてフラットな床にしています。ダイニングテーブルとベンチは妻が製作しました。

冷蔵庫、キッチン、ダイニングを一直線上に

長男の勉強スペース

ダイニングの奥には長男の勉強スペースが。キッチンやリビングにいる家族のそばで宿題ができて安心。母と長男の就寝後に仕事をする場合は、2階からパソコンを持ち運んで作業しています。

洗う、切る、調理、配膳の流れがスムーズなキッチン

洗う、切る、調理、配膳の流れがスムーズなキッチン。振り向けばバックカウンターの家電に手が届くのもうれしい。

キッチンの壁や正面奥の黄色い壁などは家族でDIY

キッチンの壁や正面奥の黄色い壁などは家族でペイント。グレートーンの種類が豊富なイギリスのメーカー「FARROW&BALL」の塗料を使いました。食品のストックなどは正面奥左手の納戸に収納。

パントリーを兼ねた納戸

パントリーを兼ねた納戸。食材は左側の手が届きやすい高さにストック。

ビルトインガレージ

将来、母が1階だけで暮らすことになった場合は、ビルトインガレージを個室に、納戸を浴室に変更できます。

完全クローズできる引き戸で生活時間帯の違いに対応

2階東南の角に配置した母の寝室

母の寝室は2階東南の角に配置。多趣味の母は以前、フラダンスや朗読を楽しみ、現在は絵手紙にはまっているそうです。

就寝時は各部屋の引き戸を閉める

母と長男は夜10時頃に就寝。夜遅くまで仕事をすることもある夫妻とは生活時間帯がずれるため、就寝時は各部屋の引き戸を閉めて、それぞれの生活ペースを守っています。

木製ルーバーで目隠しした明るい2階フロア

東面のほぼすべてを開口部にし、木製ルーバーで目隠しした明るい2階フロア。階段吹き抜けを囲むように子世帯の寝室、ワークスペース、母の寝室が並びます。

螺旋階段

コンパクトで美しい曲線を描くらせん階段はLDKのアクセント。階段下のデッドスペースにコンセントを設けて、ロボット掃除機の充電台の設置場所に。

2階ワークスペースで仕事モードON、1階LDKに下りたらOFF

モニターやノートパソコンが並ぶ夫妻のワークスペース

モニターやノートパソコンが並ぶ夫妻のワークスペース。夫は事務所通勤が基本ですが、妻は週3~4日は自宅勤務、残りの日は通勤するスタイル。昨年からは業務の一環としてオンラインによるライブ配信やオンラインサロン運営を継続中。同時にオンラインでの打ち合わせも頻繁に行うので、オフィス出勤時と同じ服装でカメラの前に座ります。

ライブ配信中はブラインドを開けて明るく

「ライブ配信中は部屋を明るく、パソコン作業時は暗くしたい」という要望はブラインドで解決。

ライブ配信中の妻

ライブ配信中の妻。ノートパソコン、タブレット、スマートフォンを駆使してチャットにも同時対応。階下から聞こえる生活音はZoomの背景雑音を抑える機能でクリアしています。

2階だけで完結する洗濯動線

2階サニタリー

落ち着いた英国風ブルーグレーのペイントに白い壁と設備機器、木の組み合わせが爽やかな2階サニタリー。つり戸棚を浮かせることで、大型窓から北側の穏やかな光をふんだんに取り入れています。

夫妻と長男が並んで休む子世帯の寝室

夫妻と長男が並んで休む子世帯の寝室。「朝はトップライトからの光で自然に目が覚めます」と夫。正面奥には3人のクロゼットがあり、母が取り込んだ洗濯物を夫妻がたたんで引き出しに収納。

サニタリーの奥にドラム式洗濯乾燥機を設置

ドラム式洗濯乾燥機はサニタリーの奥に設置。

子世帯の寝室から母の寝室を見たところ

子世帯の寝室から母の寝室を見たところ。階段吹き抜けで2つのフロアがつながり、ほどよい気配も伝わります。2階南側バルコニーへは、洗濯を担当する母の自室を通って行きます。

バルコニーの物干し場

バルコニーの物干し場。軒に守られているので、少しくらいの雨なら濡れる心配はありません。

間取図

山本さん邸の間取り

DATA

敷地面積/91.99㎡(27.88坪)
延床面積/106.10㎡(32.15坪)
1階/54.54㎡(16.53坪)
2階/51.56㎡(15.62坪)
用途地域/第1種低層住居専用地域
建ぺい率/60%
容積率/100%
構造/木造軸組工法
竣工/2019年10月

素材

[外部仕上げ]
屋根/ガルバリウム鋼板縦ハゼ葺き
外壁/ジョリパット、ガルバリウム鋼板、レッドシダー
[内部仕上げ]
1階 床/ナラ、モルタル金ゴテ仕上げ、レッドシダー
壁・天井/珪藻土クロス、塗装、シナベニヤ、一部ビニールクロス
2階 床/ナラ
壁・天井/珪藻土クロス、塗装、シナベニヤ

設備

厨房機器/サンワカンパニー
衛生機器/TOTO、
LIXIL、パナソニック、vola、hansgrohe
窓・サッシ/LIXIL、REMCO、オリジナル(玄関ドア)

施工/正司建設
設計/中村高淑(中村高淑建築設計事務所)

撮影/山内拓也 ※情報は「住まいの設計2021年8月号」取材時のものです