体験レポート&リサーチ

Sumai編集部

遼河はるひ、女子のアトリエを訪ねる「味のある使い込んだ革製品は、自分だけのもの」

遼河はるひさんと木村由香里さん

インテリアや雑貨が好きな遼河はるひさんが注目の女性クリエーターの仕事場を訪問。今回は、革製品のデザイナー・木村由香里さんのアトリエです。

小銭を種類別に収納できる「コインウォレットⅡ」

小銭を種類別に収納できる「コインウォレットⅡ」(各9900円)は、LITSTAの人気アイテムのひとつ。カラーバリエーションも豊富。

手づくりならではの温もりが感じられる財布もチェックする遼河さん

手づくりならではの温もりが感じられる財布もチェック。「小さいお財布が好き。色のバリエーションがたくさんあって、選べるのがいいですね」(遼河さん)。

上質な革を使用し、ハンドワークによって仕上げたLITSTAのレザーアイテム

上質な革を使用し、ハンドワークによって仕上げたLITSTAのレザーアイテム。軽やかなデザインで、普段使いしやすいものばかり。

使い方や暮らし方に合わせ、軽やかに持てるようデザイン

オリジナルのカルタレザーを使用した「リュックサックミニ」

遼河:最初にかわいいと思ったのが、このリュックです。革のリュックって重いし、機能性を求めるとスポーティになってしまったり。これは革なのに軽いし、小ぶりでおしゃれ。背中や肩が触れる部分はメッシュなので、痛くないんですね。

木村:革はそのままバッグにすると重すぎるので、つくり方を工夫して重量を570g前後に減らしているんです。それに、クッションを入れているので、やわらかくて使い心地もいいと思いますよ。 ※オリジナルのカルタレザーを使用。「リュックサックミニ」はオリジナルのカルタレザーを使用、4万2900円

遼河:お財布もいろんなタイプがありますね。私のように現金を持たない派の人には、小さなお財布のほうがうれしい。今の時代は、いろんな形が求められますよね。

木村:使い方や暮らし方に合わせられるようにつくっているので、確かにお財布はめちゃめちゃ種類が増えました。バッグや小物はデザインありきではなく、まず入れる物の容量や使い方を考えて実寸で絵を描き、型紙を起こして立体にしていきます。バッグなら、ウキウキ気分で持つのか、ガッツリ仕事をするのかなど、使うシーンも想像しながら、軽やかに持てるように、と考えながらつくっています。

ものづくりの町に2軒目のアトリエショップをオープン

木村:私は服飾の専門学校を卒業したあと、アパレルメーカーに勤めながら靴づくりやレザーについて学びました。だんだん自分でつくったものを提供したい、という思いが強くなり独立。ちょうどその頃、JR秋葉原駅と御徒町駅の間の高架下に、ものづくりをテーマにした「2k540」という施設ができ、レザーアイテムのアトリエショップをスタートしました。その後、機材などが増えてきたので、ここ蔵前にアトリエショップをつくり、今は2か所を拠点にしています。

遼河:このあたりって、ものづくりの町ですよね。職人さんがいるので、宝塚時代、自分の足に合わせた舞台用の靴をオーダーするために、よく来ていました。歌舞伎や舞台俳優の方などの御用達のお店も多いと聞きます。

木村:台東区はレザーだけでなく、さまざまなものづくりが盛んなエリアなので、「糸がない!」となったらすぐ買いに行けるし、「こういう金具が欲しい」と思ったらすぐにサンプルをお願いできたりするので、ものづくりがしやすいです。最近ではおしゃれなカフェなども増えて、楽しいし便利な町ですよ。

木村さんの説明に、手づくりが好きな遼河さんは興味津々

「コバ(革の断面)を磨く前に目止め材を塗り、半乾きの状態で磨くとツヤが出るんです」との説明に、手づくりが好きな遼河さんは興味津々。

裁断した革の断面(コバ)をスリッカーという道具で磨く

裁断した革の断面をスリッカーという道具で磨いているところ。「毛羽立ちが抑えられ、仕上がりがよくなります」と木村さん。

LITSTAではアイテムによってさまざまなレザーを使用

LITSTAではアイテムによってさまざまなレザーを使用。オリジナルレザーもつくっており、アトリエには多くのサンプルがそろっています。

自分色に育てていくのがレザーアイテムの醍醐味

遼河:私の革デビューは中学生のとき。当時はやっていた、ラルフローレンの小さいボストンみたいなバッグを親に買ってもらったのですが、革って独特のニオイがしますよね。それがすごく印象に残っています。長く使うと味が出て、自分だけのものという思いが強くなり、愛着が持てるようになると知りました。

木村:革は丈夫なので、どんどん使ってあげると自分色になっていきます。ただし、素材によって水濡れに強かったり、クリームをあまり塗らなくてもいいものもあったりと、お手入れの仕方も変わってきますので、買うときにお店の人に聞いてよく確認して、素材と向き合ってあげるといいと思います。革はタンパク質の繊維が集合してできていて、曲げ伸ばしすることで繊維がほぐれて弾力が増しやわらかくなります。だから、自分で使いやすく育てていくことができます。表面の汚れが味になったり、使っていくうちに摩擦でツヤが出たりして経年変化していくので、自分色をどう足せるかを楽しんでほしいです。

遼河:たとえば、この形でこの色が欲しいです、というようなオーダーはできるのですか?

木村:お財布のセミオーダーをやっていて、デザインや素材を選んでいただくことができます。色の組み合わせやポケットのアレンジなども、できる範囲で対応しています。

遼河:そういう融通が利くのって、手づくりのお店ならではですね。

味わい深いカウンターは、床材と同じく古材を使用

味わい深いカウンターは、床材と同じく古材を使用。「気づいたら大工さんが気をきかせて水色に塗ってくれてました(笑)」(木村さん)。

使う人の人生を彩る小道具をつくりたい

木村:店名の「LITSTA(リティスタ)」は、「Life is The Stage To Act(人生は演劇の舞台だ)」の頭文字を取ったもので、人生が演劇の舞台なら、それを彩る小道具をつくりたい、という思いを込めています。遼河さんは、舞台に立つとき小道具や衣装などで気分が変わったりすることはありますか?

遼河:宝塚の場合は、衣装や小道具やメイクがないと成り立たないので、とても重要。男役の場合は、肩や腰にパットを入れて、体型もつくりますから。

木村:小道具というより、「武器」って感じですね。

遼河:そうなんです。それもその人のセンス次第。必要なものは自分でつくるし、メイク道具も自分でそろえてメイクしていましたから。木村さんは、これからどんなものをつくってみたいですか?

木村:オリジナルのレザーもつくっているのですが、レザーはつくり方しだいで雰囲気や表情が無限に表現できるので、もっとバリエーションを増やしたいです。バッグや小物も種類を増やして、選ぶ楽しみがより増えるようにしていきたいと思っています。

経年変化した革と新品との違いに驚く遼河さん

経年変化した革と新品との違いに驚く遼河さん。「レザーって使えば使うほど味が出て、自分だけのものになっていくのがいいですね」。

こだわりのレザーを使ったものづくり

牛の首の後ろの部分の希少なレザー

靴職人から靴づくりを学び、レザーの知識を深めていったという木村さん。「LITSTAのレザーは牛革が中心ですが、たとえばこれは首の後ろの部分の希少なレザー。牛が首を動かすことでできるシワが模様になっています。牛革なのに“トラ”と呼ばれているんですよ」と楽しそうに話してくれました。LITSTAではオリジナルのレザーもつくっており、遼河さんが気に入ったリュックに使われている「カルタレザー」は、紙を模した模様が特徴(カルタ=イタリア語で紙)。

牛革の経年変化による違い

また、経年変化による違いも魅力。左が新品で、右が数年使っていい風合いになったもの。

軽やかで温もりのあるアイテム

カルタレザー ミニバッグ
クラッチショルダー
タイニーコインケース

LITSTAでは、バッグや財布など普段使いしやすいレザーアイテムを展開。厳選された上質なレザーを使用し、使いやすくてハンドワークならではの温もりの感じられるアイテムがそろっています。写真上から、「カルタレザー ミニバッグ」(1万1000円)、「クラッチショルダー」(1万9800円)、「タイニーコインケース」(各4180円)。不定期でワークショップも開催していてます。「手づくりが楽しくてこのお店を始めたので、完成したものを売るだけでは申し訳なくて(笑)」と木村さん。気軽に挑戦できるカードケースやキーケースなどの手づくり体験ができるそうです。

※価格はすべて税込。「ものづくり」をテーマとした商業施設「2k540」にもショップがあります

●遼河はるひさん
宝塚歌劇団の男役として人気を博し、退団後は女優・タレントとして幅広く活躍。2019年、サッカー選手(現在はコーチ)と結婚。『突撃! 隣のスゴイ家』(BSテレ東)に出演中

●木村由香里さん
文化服装学院アパレルデザイン科メンズコース卒業後、アパレルメーカーに勤めながら手縫い靴やレザーについて学ぶ。2010年、夫の佐藤祐樹さんとともに「LITSTA」をスタート

撮影/水谷綾子  ※情報は「リライフプラスvol.41」取材時のものです