家づくり

古川泰司古川泰司

購入すべき良質な中古住宅の見極め方!床下、天井裏には過去のトラブルの痕跡あり

住宅購入のチェックポイント

中古住宅の価値が見直されるようになって久しいですが、じつはこの傾向に、さらに拍車がかかりそう。それどころか、新築の住宅を建てるのは今後、かなり難しくなるのではというショッキングな予測も。

そうなると重要になるのが、質のよい中古住宅を見極める目です。買ったあとに後悔…という事態を防ぐためのチェックポイントを紹介。教えてくれたのは、一級建築士で、公認住宅医と既存住宅状況調査技術者の資格を持つ古川泰司さんです。

新築住宅を建てるのは、今後ずっとむずかしくなる!

ウッドショックから続く新築住宅の建設費の高騰は、とどまるところを知りません。それに追い打ちをかけるように、新築着工数の予測は2040年に現在の半分である40万戸に激減すると言われています。

となると、建築設備のメーカーにしてみれば、お風呂でもキッチンでも製造コストに大きな差が出てくることに。というわけで、今後20年もしないうちに、新築住宅は高所得者にのみ許される世界になっていくと予想されます。

そうすると、「一般的な家庭では持ち家は無理?」と不安になる方も多いでしょう。でも、それは違います。日本にはまだまだ使えるあき家住宅があり余っているのですから。

国交省の統計では、あき家の総数は850万戸あるそうです。そのなかで、一戸建ては8割といいますから700万戸。なかには朽ち果ててしまって手に負えないものもありますが、まだまだ使えそうなものもたくさんあります。これを使わないのはもったいないですよね。

コスパを考えれば、新築より「中古でリフォーム」の時代が来る

業者に相談

中古住宅なら新築に比べてコストの面でも射程範囲になりそうです。ちなみに、中古住宅をフルリフォームすれば、新築同様に生まれ変わらせることが可能。中古住宅で持ち家をゲットする選択肢はこれからますます注目されるでしょう。

中古住宅ではいくら直しても寿命が短いのでは?そう、言われる方もいます。そこは考え方次第です。その家を何年使うのかによります。5年しか住まないということはないでしょうけれど、20年なのか、30年なのか、あるいは50年なのか?どうでしょうか?結論から先にいうと50年使えるようにリフォームで直すことだって十分に可能なのです。

ここで大切なのはコストのバランスです。総費用を中古住宅の購入費用とリフォーム費用でどのようにかけていくのかです。

購入すべき、質のよい中古住宅の見極め方

正しいバランスを知るための最初の一歩は中古住宅の状態を見極めることです。状態の善し悪しでリフォームの費用は随分変わってくるからです。

見極めるポイントのいちばん目は、床がゆがんでいないかのチェック。ひどいものだと床のゆがみで部屋の中に入った途端に目が回ることだってあります。正確に調べるにはレーザー式の水準器で垂直と水平のゆがみが測れます。

1階と2階、それぞれを確認しましょう。床のゆがみで窓やドアの開け締めがしにくくなっている場合もあるので要チェックです。

床に関連して次に大切なポイントは、1階の床下の状態を確認すること。床下を覗き込む場所があればそこから床下の状況を見ます。キッチンに床下収納がついている場合には、そこから簡単に床下を確認することができます。

床下を見てまずは湿気ているかどうかをみます。カビ臭ければ湿気がたまっている証拠です。1階の床を支えている束組(床組のこと)に水シミがついていれば床下浸水をしたことがあるということです。周囲に降った雨が床下に侵入している可能性があります。

浸水したことのある床下

上記の写真をご覧ください。床下の写真は床を支える束組に水シミが明瞭にあります。これは床下浸水があった痕跡ですね。

床下の次は天井裏です。2階の天井裏から屋根の状態を確認できます。大きなポイントとしては雨漏りの形跡ないかどうか。屋根のすぐ裏にある板(野地板)に雨漏りがあれば水シミができています。2階に押し入れがある場合は、そこの天井板がはずせるようになっている場合が多いので確認してみましょう。

断熱材が入っていない天井裏

上記は天井裏の写真。野地板に雨漏りの跡はなく、健全ですね。ただし、断熱材が入っていません(経験上、この手の家はとても多いです)。これについて、下記に説明していきましょう。

1階の床下と2階の天井裏を見る時に、さらに一点注意してほしいのは、断熱材が入っているかどうか。築年数が古いとどちらにも断熱材が入っていないケースがあります。冬の底冷えや夏の2階の暑さは、断熱材が十分あれば解決できます。

天井裏と床下に断熱材を入れるだけで、快適さは全然違うもの。多分費用は20万円程度で済むでしょう。

以上のような現地確認は一般の方にもできること。そのうえで、最善の対象方法と必要なコストについては専門家と一緒に見てもらったほうがよいでしょう。専門家と言っても、不動産屋さんは建築の知識と経験がほぼありません。設計事務所や工務店さんと一緒に見られることをおすすめします。中古住宅選びもパートナー選びが大事ですね。

このような基本的な調査を踏まえればリフォームにかかる費用をかなり正確にはじき出すことができますので購入代金と合わせた資金計画を立てやすくなります。

まとめ:中古住宅購入の際のチェックポイント

<1階の床下について>

  • 1階の床を支えている束組に水シミがないか →そうならNG
  • 床下を覗き込んで、しけってないか、カビ臭くないか →そうならNG
  • 断熱材が入っているか →そうならOK

<すべての階の床について>

  • 床がゆがんでいないか(水準器で確認を) →そうならNG

<2階の天井裏について>

  • 天井裏に雨漏りの形跡(水シミ)がないか →あればNG
  • 断熱材が入っているか →あればOK

<建物をチェックするパートナーについて>

設計事務所や工務店さんと一緒にチェックを。不動産業者は建築の知見がないことも多いのでNG

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●教えてくれた人/古川泰司さん
1963年新潟県生まれ。武蔵野美術大学、筑波大学修士課程修了。アトリエフルカワ一級建築士事務所主宰。設計で大切にしていることは「森とつくる いっしょにつくる」。森と木を生かした「森とつながる建築」をつくり住宅医の資格を持ち、中古住宅の診断、耐震改修、断熱改修、生活改善を提案。DIYのサポートも。近著に『木の家に住もう。』(エクスナレッジ刊)がある