可愛いのに、実は奥が深い!? 「おっぱいマフラー」がもつ本当の意味とは…
大量生産、大量消費もいいけれど。使い捨て、ファストファッションも、便利だし、使いやすいけれど。「わたしが選んだ、こだわりの1つ」は、なんだかすごく愛おしく大切にしたくなるもの。そんな雑貨やアイテムが、おうちに1つあると、素敵な空間になると思いませんか?毎週日曜日は、そんな“こだわりのアイテム”にフォーカスして、その作家の想いやエピソードをご紹介します。
ナビゲートしてくれるのは、タレントとして、またテレビや映画などでも女優として活躍しているちはるさんです。
最初の出会いは「羊」として!?
のぎさんとは去年のハロウィンパーティーで初めて会いました。正確にはのぎさんじゃなくて、のぎさんが演じる「羊」として、なんですけどね。着ぐるみを着て「羊」になりきってパフォーマンスをする人がいる、と知人から聞いて、来てもらったんです。その着ぐるみがすっごくよくできていて、ますますのぎさんに興味を持ってしまいました。
でも、じっくり話すのは実は今回が初めて。
のぎさんのFacebookで見てカワイイ!と思っていた、この「おっぱいマフラー」について聞いてみると……。

ウレタンをひとつひとつ手で削って微妙なシルエットを再現したという「おっぱいマフラー」
「実はエグいことを考えてつくってます(笑)。今の世の中って、柔らかいもので首を締められているような窮屈さや矛盾があるというか……。実はそんなようなことをテーマにしています」とのぎさん。こんなに社会派な人とは知らなかった!
いい意味で「とんちんかん」なことを真面目にやるところがカッコイイ

豪快なビジュアルとは裏腹に!? 針を動かす指先は繊細
のぎさんの肩書きについて聞いてみると……。
「う〜ん、やっぱり現代美術家、かな。モヤモヤしたものや欲求不満を形にする、というか。
ただ、それをいかにも“どうよコレ!”みたいにバーンとやるのはイヤで、そこはかとなく感じてもらえるような形にしていきたい」と話すのぎさん。

「3.11以降に進化とは何か、みたいなことを考えてつくりました」というモビール。タイトルは「いぶき」。人間の下半身をモチーフにしている
一見すると可愛く見える、今日見せてもらった作品たちにはそんな深いメッセージが込められていたんですね。「アート」と聞くと難しく考えてしまいがちだけど、おっぱいマフラーのように「触りたくなる」アートがあってもいいですよね。

「花の子」という名のぬいぐるみ。「いま見えているものを疑う、といったことを表現したくて右目と左目で違うボタンをつけています」
いい意味で「とんちんかん」なことを真面目にやる、のぎさんみたいなアーティストが、もっともっと活躍できる世の中になっていくといいな、と思います。
【のぎすみこさん プロフィール】
現代美術作家1965 年福島県生まれ、東京育ち。「手のひらに乗っかるものから大きいものまで」つくる現代美術作家。様々な職業を経験した後、30 歳で突然美術に目覚め、初の写真展「27 人のふたり」を開催。数多くのインスタレーションやパフォーマンスなどの活動を精力的に行っている。
【ちはるさん プロフィール】
テレビ、映画、舞台などでタレント、女優として活躍するだけでなく雑誌・Web連載、著書など多彩なジャンルで活躍中。オーナーである目黒のカフェ「CHUM APARTMENT」をはじめ、インテリアや雑貨などのセンスは長年多くの人の支持を集めている。
撮影/佐々木孝憲
※情報は「リライフプラス」取材時のものです