モデルハウスの購入はお買い得だった or 失敗だった?~購入者に聞いてみました!
モデルハウスといえば、ハウスメーカーや工務店のいわば“実物大の広告”です。
平面のウェブサイトやチラシではわからない魅力を体感できて、会社選びはもちろん、家づくりがスタートすれば間取りから設備選びまで重要な参考例になります。
今回は実際にモデルハウスを購入した方に話を聞き、モデルハウス購入のメリット、デメリットについてまとめてみました。
当然、お客さんをたくさん呼び込めるように、各社ともその建設には知恵や資金をたっぷりと投入。
そんな力作のモデルハウスのなかには、展示後に値段を下げて販売されるものがあります。
購入をめぐっては抽選も行われるなど、注目度は高いようですが、ちょっと気をつけたいこともあるのです。
お得感いっぱい!プロがコーディネートしたオシャレ空間をそのままゲット

さるとびサスケ / PIXTA
取材させてもらったのは、結婚を期にモデルハウスを購入したNさん(40歳代)。
モデルハウスは分譲地の一画に建てられたもので、展示開始から半年で購入。
照明や蓄熱式暖房機などの設備類のほか、展示に使われていたダイニングセット、リビングのソファーとテーブル、和室のテーブル、カーテン、ベッドのフレームなども付いてきたそう。
「家具は撤去もできると言われましたが、家と家具の雰囲気も合っていて素敵だったので、そのままにしてもらいました。ベッドのマットレスがなかったのには驚きましたが(笑)」(Nさん)
プロがコーディネートし、インテリアも含めて“仕上がっている”オシャレ空間をそのまま手に入れられるのは、大きなメリット。
家具まで付くかどうかは会社によって違いますが、Nさんはほとんど事前の準備なしで住み始めることができたわけです。
気になる価格は、カーポートがなかったので追加工事をお願いしたにもかかわらず、お得感のあった表示よりもさらに100万円ほど値引きしてもらえたと言います。

千成ひょうたん / PIXTA
筆者も展示後の販売を前提としたモデルハウスの取材には、何度も行ったことがあります。
電動式シャッター付きビルトインガレージには車が2台停められ、庭には広いウッドデッキ、浴室窓の外には趣たっぷりの坪庭、サンルーム……。

とち太郎 / PIXTA
設備機器は最新ですし、床には高級な無垢材を使うなど、素材のよさも訪れる人の心をつかみます。
また、大規模な分譲地のなかでも、人気の高い区画に建っていることが多いと思います。
角地だったり、日当たりや眺めがよくなるよう窓を大きくとりたい方角が開けた場所だったり。
それらはそのまま、購入後の住みよさに直結します。
やっぱりデメリットはあるの!? 見かけのよさに惑わされないで

TATSU / PIXTA
既に建っているものを買う際に、1番心配なのは構造部分です。
N邸の場合は、建築の過程も公開しながら建てられたモデルハウスだったそうで、構造にも力が入っていると考えられます。
けれども会社によっては、工期短縮のため、あるいは外見や広告に予算をかけるために、完成すると見えない部分に手抜きがないとは言い切れません。
構造面での心配は建売住宅でもいえることですが、モデルハウスならではのデメリットが、見た目重視である点です。
「暮らす」「住み続ける」という面を軽視している可能性があるので、注意が必要です。
収納は充分にあるか、使い勝手の悪い空間はないか、メンテナンスはしやすそうか、見栄えのいい吹き抜け空間はエアコン代が高くならないか……。
生活をする立場でシビアにチェックしましょう。

nara / PIXTA
N邸のエアコンは天井埋め込み式で、空間がすっきりと見える理由の1つになっていますが、今後のメンテナンスが少し心配だと言います。
「オシャレではあるんですけど、同じタイプのエアコンが壊れて修理の見積もりをとったら、高額だったという知り合いがいるんです」(Nさん)
また、引き渡しの前には、現状をチェックする機会があります。
壁紙の貼り替えをしてくれるところもありますが、モデルハウスという性質上、たくさんの人が出入りしているので新品同様ではありません。
修繕や取替えを希望する場合は、どちらがその費用をもつのか明確にしておきます。
築年数が経っている場合は、設備類にも注意してください。
エアコンはもちろん、システムキッチンなどにも保証期間がありますので、あらかじめチェックをしておきましょう。
いかがでしたか?
構造にこだわりがあり、建物や家具の状態がよい築半年のモデルハウスが購入できたNさんは、成功例といえるでしょう。
購入前に不安な点をきちんと確認して、それらがクリアになれば、住宅購入の選択肢としてのモデルハウスは「あり」だと思います。
(written by いけだちよみ)