どのくらいの土地物件を見学したでしょうか。
50件近くは見に行ったと思います。
しかしそのほとんどは、私たちをがっかりさせるものばかりでした。
希望するエリアで「更地に新築一戸建て」はもう無理なんだな……と実感していた矢先に、なんと希望にほぼピッタリの土地が出てきたのです。
※ 【自営業の妻、3年かかって家を買う】 今までのシリーズを見てみる
■やっと出てきた「プレミアム物件」。でも、かなり怪しい!?

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関西でも人気のエリアで、私たちには到底手に届きそうにない場所に、その土地はありました。
駅からはバスで10分ほどかかりますが、バス停は物件の目の前で便利そうです。
駅周辺はおしゃれなカフェや雑貨屋、パン屋さんやアパレルショップがあります。
ちょっと坂道がキツいけれど、スーパーもコンビニも自転車で行ける範囲内にあります。
広さも140平米以上で、環境も申し分なしです。
でも……。嫌な予感もプンプンします。
だって、すごく安いんです。
140平米で1500万円! 嘘でしょ!?
相場は5,000万円以上だったと思います。
だからかなりおトク! そしてかなり怪しい……。
さっそく見に行くことにしました。

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とってもいい眺めの土地で、南側から大阪湾が一望できます。
目の前には小さな川が流れているので、南側に何か建物が建つこともないでしょう。
素敵……、と言いかけた私は、「あーまたか……」とがっかりしてしまいました。
そんなに甘い話はないのです。
安いのには理由がありました。

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それは“土地のほとんどが傾斜地”だったのです。
平らになるように基礎工事をしたら周辺価格と変わらなくなるよね、きっと。
カラクリが解けました。
車から出ることなく、私が「もう帰ろう」と夫に声をかけると、なにやら熱心にウロチョロしています。
そして夫は言いました。
「たぶんイケる」
え? 何が?
「ここに家を建てることができると思う」
そうです。忘れていました。
私の夫は建築士でした。

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経験上、大規模な基礎工事をしなくても、この傾斜地に家を建てることができると判断したらしいのです。
おうおう! それならば不動産屋に直行です。
これまでも過去に何人かが価格の安さに惹かれて見に来ていた土地だということがわかりました。
でも結局買い手がつかなかったのは、やはり基礎工事にお金がかかることが判明したからだそう。
あまりに長い間売れないので、要相談でさらなる値引き交渉も可能だということもわかりました。
きっとあきらめずにがんばっていた私たちを見ていた神様がいたんだわ。
不動産屋さんには買う意思を伝え、銀行のローン審査に必要な書類等をなるべく早く揃えることにして、同時進行で地盤調査を依頼したり工務店の選考などにも着手しました。
■「購入申込書」って何よ!? 不動産業者のケアレスミスで他の誰かに先取りされてた!

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書類等を持っていくことになった日の前日、午後9時過ぎ、不動産屋さんか電話があり、この話が流れてしまったことを告げられました。
私たちより後に見学した夫婦が予約みたいなことをして買うことになった、という説明でした。
予約? それだったら私たちも買う意思を伝えていたではないか? どういうこと?
それは「購入申込書」という書類を提出していなかったせいらしいのです。
後から見学した夫婦はこの「購入申込書」を、別の不動産屋さんからちゃんと提出していたんですね。
じゃあ、なんで私たちはそれを提出していなかったかというと、“知らなかった”からです。
不動産屋さんも教えてくれませんでした。
それを問うと不動産屋さんは「もう何年も売れていない物件だったから、提出しなくても大丈夫だと思った」と答えていました。
そんなの、ただのケアレスミスじゃん!
神様はがんばったご褒美をくれた訳ではなくて「新築一戸建てはあきらめなさい」と念押ししてくれたんだと思います。
えらく荒療治ではあったけれども……。

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これには後日談があって、先約した夫婦は結局その物件を買うことをあきらめたらしいのです。
不動産屋さんを通して売主さんから再検討してくれと連絡がありましたが、売主と不動産屋の双方をすでに信用できないし、いろんなタイミングが合わず見送ることにしました。
ということで、痛い目にあって本当に完全に「新築一戸建て」をあきらめることにしました。
ちなみに6年経った今でも、その土地に家らしきものは建っていません。
なんだかなー。
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