賃貸でもあきらめない!「壁on壁」で自分好みの壁を手に入れよう!
「うちは賃貸だから、お部屋の壁を自由にできなくって……」。
インテリア好きな賃貸派の方なら、誰しもが思うであろう悩みのひとつですよね。
その理由とは、「原状回復の義務」!
賃貸住宅は「引っ越しするときには元の状態に戻しておかなくてはいけない」という制限があるので、壁をペンキで塗ったり、勝手にクロスを貼り替えたりするのはもちろん御法度。
我が家も賃貸マンションなんですが、インテリアを自分好みに構築するにあたって、あの味気ない真っ白なクロス壁に日々悩まされ続けました……。
突然ですが、こちらは我が家のリビング壁です。
もちろん最初からこのような感じの壁だったわけではありません。
元の状態はというとこちら。
賃貸住宅によくある、ごく一般的な白いクロス壁でした。
このような我が家の壁を、どうやってこのようにカスタマイズしたのか?
今回はこのクロス壁に直接ペンキを塗ることも、クロスを貼り替えることもなく、しかも原状回復できる方法で自分好みの壁を作ることができる賃貸住宅の「壁の作り方」をご紹介しようと思います!
■工程1:「ベニヤ板」を壁に固定する
まず最初に用意するのが「ベニヤ板」です。
用意するベニヤ板は厚さ2~2.5mm程度のもので、サイズはできるだけ大きなものを購入します。
今回は1820mm×910mm、厚さは2.5mmという大きさのものをホームセンターで購入しました。
そのベニヤ板を壁の大きさに合わせてカットし、白クロスの壁面の上に固定していきます。
ベニヤ板をカットする際は、カッターナイフを使います。
厚さ2mm前後のベニヤ板であれば、カッターで数回なぞるようにするだけで簡単にカットすることができます。
壁に「コンセント口」がある場合は、その部分も忘れずに切り抜いておきましょう。
次に、カットしたベニヤ板を壁に仮固定します。
ベニヤ板の複数箇所に「極細ネジ」を入れていきます。
今回は直径1mmのネジを十数個入れてベニヤ板を仮固定しましたが、この細さのネジであれば、外したときに跡(ネジ穴)が目立ちません。
ポイントとしては、ネジを入れる前に「ドリルで小さな穴を開けておく」こと。
こうすることで、ベニヤ板にネジの頭の部分を埋め込むことができます。
今度は、ベニヤ板を「本固定」していきます。
先ほどベニヤ板をネジで取り付けたのは「仮固定」で、そのままの状態ではすぐにベニヤ板がそり返り、はがれ落ちてしまいます。
そこで上の写真のような「モール(L型の細い木材)」を、強力両面テープで壁の四隅に貼り付け、ベニヤ板をしっかりと固定します。
ここでのポイントは、モールをベニヤ板側に貼り付けるのではなく、「四隅の柱に貼り付ける」こと。
モールをベニヤ板に貼っても、元々の壁とは接点がまったくないので固定強度が上がることはありませんが、柱側に貼り付けることによって、ベニヤ板をしっかりと壁に固定することができます。
これでベニヤ板を壁に固定することができました!
■工程2:「漆喰」を塗り、壁の下地をつくる
ベニヤ板を貼った後は、いよいよ自分好みのテイストに壁をデコレーションしていきます。
今回、壁の下地として選んだのは「漆喰」。
漆喰を購入する際の注意点として、必ず「練った状態のものを購入する」こと。
通常ホームセンターに置いてある漆喰は粉状のものがほとんどで、これに自分で水を加えて練るのですが、この作業にかなりの力と時間を要します。
すでに練ってある状態のものもホームセンターやネットなどで販売されていますので、こちらを購入しましょう。
練り漆喰をトレーなどにあけ、「左官」と呼ばれるコテを使って壁に直接塗っていきます。
コテにたっぷりと漆喰をのせ、壁に軽く押しつけるようなイメージで漆喰を塗っていきます。
細かいことはあまり意識せずに、ラフな感じで塗っていく方が、おもしろみのあるテクスチャーに仕上がります。
漆喰を壁全体に塗り終わったら、完全に乾くまで半日~丸一日待ちます。
■工程3:いよいよペイント!「下塗り」&「上塗り」でベースカラーをつくる
漆喰の上から壁全体のベースとなる色を塗っていきます。
今回は「下塗り」にベージュとブルーグレーでペイントしてみました。
下塗りの塗料が完全に乾いたら、「上塗り」としてホワイトをかぶせて塗っていきます。
ここでの塗装ポイントとなるアイテムがコレ!
漆喰塗りでも使った「左官コテ」です。
刷毛ではなく、このコテを使ってホワイトを上塗りしていきます。
刷毛と同じように塗料をたっぷりとコテにとり、漆喰を塗るときと同じようなイメージで塗料をのせていきます。
こうすることによって、ランダムに飛び散った塗料と波打ったような質感が得られ、刷毛で塗るのとはまた違った表情に仕上がります。
コテを使ってホワイトを壁のほぼ全体に塗り、まだらになってしまった隙間を「刷毛」で伸ばします。
刷毛の塗り筋が気になる場合は、「スポンジ」で軽く押さえると自然な感じに仕上がります。
もし粒子が浮いた「砂壁」のようなテクスチャー感が欲しい場合、このスポンジペイントで仕上げるとうまく質感を得ることができます。
これでベースとなる上塗りと下塗りが終わりました!
■工程4:「味付けペイント」でアンティークな質感を加える
先ほどの「上塗り・下塗り」で、漆喰のテクスチャーが効いたナチュラルな壁が出来上がりましたが、ここでもうひと手間加えてアンティークな味付けを施していきます。
ステイン塗料を壁のフレームラインや縁角に筆で塗り、ティッシュを押し当てるようにしてすぐに拭き取ります。
こうすることによって、色あせた茶染みが滲み広がったようなイメージになり、経年劣化したような味わい深さが加えられます。
壁全体には水で薄めたステイン塗料を、先程と同様にスポンジでポンポンと塗り当てます。
すぐにティッシュで拭き取り、うっすらと汚れた茶シミの風合いをところどころに入れていきます。
最後に使うのが、上の写真の「鉄ヘラ」。
このヘラを使って塗膜をところどころ剥がし、よりリアルなアンティーク感を加えていきます。
壁全体のイメージが不自然にならないよう気をつけながら、バランス良く少しずつ削り取っていきます。
上塗りを削れば下塗りが、下塗りまで削れば漆喰が出てきますので、ここで最初に施工した「上塗り&下塗り」が生きてきます。
これで味わいのあるアンティークな壁を作ることができました!
今回は飾る小物の色が映えるよう、明るめの色調で柔らかく女性的な印象に仕上げました。
ほんのりクリームがかったホワイトの下に落ち着いたベージュとグレイをのぞかせ、立体感をプラス。
このように、味気ない真っ白なクロス壁が、自分の理想通りの壁になりました!
引っ越しの際も両面テープで貼り付けたモール剥がせば、ベニヤ板ごとポコッと取り外すことができるので、原状回復もバッチリです!
壁の色を変えるだけで部屋の印象は大きく変わります。
賃貸だから……とあきらめていた「壁」を、自分好みに仕上げてみてはいかがですか?