「栃木の木」は強い!? そのヒミツは…寒さにアリってどういうこと?

設計:高山毅
突然ですが皆さん、もし家を建てるなら、こんな家はステキだと思いませんか?
至るところに無垢の木材がふんだんに使われていて……。
まるで自然の中にいるような落ち着いた雰囲気。
実はこちら、「とちぎ材」でつくられた家なのだとか。
どうして栃木県なの? その魅力に迫ってみたいと思います。
■栃木県の製材加工会社にお邪魔してきました!

取材協力:無垢杢工房
ということで、実際に栃木県の製材加工会社「無垢杢工房」にお邪魔してみることに!
ここ栃木県は乾燥材生産量で日本一になったこともある、全国有数の木材生産県なのだそう。
編集部Mの後ろにあるのは、栃木県で取れた「ひのき」。
作業場全体にひのきの良い香りが漂っているのですが、香りまでお届けできないのが残念なくらい!

「無垢杢工房」1級建築士 高山毅さん
今回、製材加工作業場を案内してくれたのは、「無垢杢工房」の建築士、高山さん。
――立派な木ですね……。この大きさになるのに、大体どれくらいの時間がかかるんですか?
これで大体50〜80年くらいですね。
――80年……!!
「丸い」木から「四角」の柱材や板材を切り出していくわけですから、なるべく歪みのない“まっすぐ”な木のほうが効率がいいんですよ。
栃木県は積雪や水害が少ないので、「根曲がり」が少なく、まっすぐの木が育ちやすいんです。
枝打ちや間材などの手入れも行き届いているので、節が少ない質のいい木が取れるんですよね。

切り出された板材や正角・平角材は、フローリング材や柱材・梁材として使われる

木材のことをたくさん教えてくれた、工場長の敦賀英治さん
切り出された木は、まだ水分をたくさん含んでるんです。触ってみて。
――ほんとだ! 水分を含んでいるからか、しっとりと冷たく感じます。
ここから、使う場所に適した乾燥法で木材を乾かしていくんです。例えば、天然乾燥では1年を超えるものもあるんですよ。(注:材料の規格による)
――1年もですか……!
乾燥させたほうがこっち。どうですか? 全然触った温度が違うでしょう?
――ほんとだ、触った感じがさっきとは全然違う! ……これで完成ですか?
まだまだ(笑)このままだと日焼けしてしまっているから、表面を何度か削って仕上げるんです。
- 仕上げ前
- 仕上げ後
――苗を植えて50年以上かけて木材を切り出して、さらに乾燥させて、加工して……。1枚の木材を作るのに、こんなに技術と時間がかかってるんですね……。
そう、だからこそ「とちぎ材」は“強い”んです。
■どうして「とちぎ材」は“強い”の?

丸くて美しいひのき
一般的な森林の標高から見ると、「ひのき」の北限は、大体栃木辺りなんですよ。これが「とちぎ材」の強さのヒミツなんですが、どうしてか分かりますか?
――うーーん……寒いとゆっくり育つから?
そう、同じ樹種でも品種や育て方(枝打ち、間伐)などによる違いはありますが、例えば九州辺りだと、このくらいの大きさになるのに大体25年くらいで済んじゃう。だけど栃木は寒いから倍の50年はかかっちゃう。
すると、同じ太さでも年輪は倍の量になるわけですね。
じっくりと成長するから、年輪幅が狭くなり、目が詰まって固くて強い木材ができる。これは「ひのき」だけじゃなく「スギ」なんかにも言えます。
国が定める基準強度と比べても高い数値を誇ってる。プロは「とちぎ材」の良さを知っていますが、もっともっと一般のお客様にも知っていただけると嬉しいですね。
次回では実際に、とちぎ材で建てたという高山毅さんのご自宅にお邪魔して、木の家の魅力に迫ってみたいと思います。
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