シーリングライトだけで本当にいいの?もっと知りたい!照明のこと【前編】
“ライティングプラン”という言葉を、聞いたことはありますか?
カタカナで書くと「文章を書くことかな?」と思われがちですが、インテリアにおけるライティングプランとは英語で書くと“lighting plan”。
つまり、「照明計画」のことです。

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なんとなく選んでしまいがちな照明ですが、お部屋の雰囲気を一変させてしまう影響力を持っています。
ここでは照明計画における2種類の考え方と、それぞれの特徴をお伝えします。
■シーリングライトは便利だけど、それだけではつまらない!?
「お部屋の照明」と言えば、シーリングライトを想像する方も多いでしょう。
天井に直付けの、プラスチック製のシェードが付いた照明です。
おそらく、多くの方が一度はこの照明の下で暮らした経験があるのではないでしょうか。
それもそのはず、シーリングライトは日本国内で屋内家庭用照明器具の販売台数の65%を占めている国民的照明器具なんです。
「一灯だけで、お部屋を隅々までまんべんなく明るく照らせる」という機能性の高さから高度経済成長期に爆発的に広まり、
今でもスタンダードな照明器具として人気があります。
このシーリングライトのような照明を使ったレイアウトを、ライティング用語では「一室一灯」と言います。
読んで字のごとく、「一つの部屋に、一つの灯り」ということを意味します。
「一室一灯」の対義語として、「一室多灯」という用語があります。
これは「一つの部屋に、多数の灯り」という意味で、ダウンライトやスポットライト、壁付けのブラケットといった照明器具を思い浮かべていただければ分かりやすいでしょう。
最近ではインテリアに対する関心の高まりもあり、照明計画にも積極的にアイディアを出す工務店やハウスメーカーも増えてきました。
新築や改築のお家を拝見すると、この一室多灯の照明計画を採用したインテリアも数多く見られます。
■「一室一灯」と「一室多灯」それぞれにメリット、デメリットがある
シーリングライトに代表される「一室一灯」と、ダウンライトやスポットライト等を使った「一室多灯」。
この両者、「どちらが良いのか?」という議論がよく起こります。
対極に位置する二つの考え方の宿命かもしれませんね。
ところが、この「照明論争」。
結局のところは「その部屋で、誰が何をどのようにするのか」によって使い分けるのが一番なんです。

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そのためには、それぞれのメリットとデメリットを把握しておく必要があります。
■なんといってもお手軽さが魅力!一室一灯のメリット3つ
1・操作が簡単
リモコンひとつ、ボタン一つで済むものが多いです。
調光機能がついてるものも多く、部屋全体の明るさは調整できます。

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2・掃除が楽チン
照明器具は普段あまり触らないので、意外とすぐに埃がたまります。
掃除の手間が掛からないのは嬉しいですね。
3・計画ミスが少ない
部屋中がまんべんなく明るくなるので、生活に支障をきたすレベルの照明計画の失敗は起きにくいのが安心です。
■暮らしが豊かに!一室多灯のメリット3つ
1・インテリアとして秀逸
部屋の奥行き感が増したり、陰影がつくことで目立たせたい場所と隠したい場所が作れます。
様々なデザインの照明器具を組み合わせることで、オリジナリティの高い空間に仕上げることも。
薄暗い間接照明も使えます。
2・電球が切れても大丈夫
複数ある照明器具のうち、ひとつが電球切れを起こしても大きな支障は出ません。
特殊なサイズの電球や高価な専用器具を使っていてすぐに交換できない時にも、ひとまず安心です。
3・シーンに応じた調光ができる
一室一灯の調光はあくまで「部屋全体」ですが、多灯の場合はもっと細かな調整ができます。
「テレビ画面の周りだけ、あるいはテーブルの上だけ明るくする」という調光が可能です。
メリットだけ見ると、どちらも素晴らしい照明計画に思えるのですが……。
【後編】では、それぞれのデメリットと、実際に使うシーンを想定して、より具体的にお話したいと思います。