介護の仕事が「きつい・汚い」というのは、半分本当で半分間違っている!?
住み慣れた大都会・東京を捨てて、生まれ故郷の岩手県へUターン。
数々の艱難辛苦(かんなんしんく)を乗り越え(……すみません、ウソです。そもそも難題のハードルはどれも低いです。なんなら走っている最中、ハードルに足を引っ掛けてもクリアできます)、
200万円という破格の値段で中古住宅を手に入れた筆者の、リフォームDIYや田舎暮らしにまつわるお話を紹介します。
(※文中には、いくつか方言が使われています。誤字ではありません!)
■おら、もう、満員電車には乗りだぐねぇ!
東北(とうほぐ)訛りの小見出しからスタートです。
大抵の地元の人は、北三陸(岩手県沿岸部にあるという設定の、架空の市)を舞台にした
NHKの朝ドラ『あまちゃん』の主人公・天野アキちゃんほどには訛(なま)っていません。
さて、日本の首都・東京や、千葉・埼玉などいわゆる首都圏にお住まいのビジネスマン、学生さんたちにはおなじみの通勤電車の地獄絵図。
“寿司詰め”とはよくいったものですが、乗車率200%越えの通勤時には、車内で押しつぶされて内臓が飛びだしそうな毎日でした。
そして流行の、電車内痴漢・冤罪の多発。
最近、線路にエスケープする痴漢容疑者が多く、社会問題のひとつとして注目されていますが、痴漢(と痴漢の冤罪)被害は今に始まったことではありません。
本当に嫌になりますよね。
都会に住んでいる皆さんは、できることなら満員電車には乗りたくないと思っているのではないでしょうか。
……筆者は思っていました。
そして、毎年言われている関東大震災再襲来の恐怖!

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しかし、なぜか関東ではなく、北海道や東北、九州地方に大地震が起きて大被害を出している昨今なのですが、
当時住んでいた調布市の安アパートでは、震度3程度の地震でも建物全体が崩壊しそうなほど激しく揺れ、そのたびに肝を冷やしたものです。
そんなストレスいっぱいの東京で暮らすメリットを感じられなくなった筆者は、2013年に東京脱出を試みたのでした!
■ところで仕事はどうするの?

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都会で暮らすにせよ地方で暮らすにせよ、生活の糧(=お金)を得るために働く必要がありますよね。
美容師や料理人など、なにかしらの技術を持っている人は、どこへ行っても比較的簡単に就職先が見つかるでしょう。
その反面、会社勤めのサラリーマンはとなると、基本的に退職して脱サラしなければいけません。
地方都市でも営業職は王道の職業ですが、人によって向き不向きがあります。
出版社やデザイン会社で働いていた筆者(おまけに、再就職するのに、すでに限界を突破している年齢)には、地方で出版・デザインの仕事を得るのは至難のワザでした。
しかし、そんなことを見越して、長いこと温めていた計画があったのです。
それは、介護業界に就職することです!(ここで効果音:シャキーン!!)
さらりと書いてしまうと介護の現場で働いている方たちに大変失礼なのですが(ゴメンナサイ)、
筆者の場合は、来たるべく超高齢化社会(=65歳以上の高齢者が占める割合が21%を超えた社会。2035年までには、3人に1人が高齢者になると試算されています)
を憂いて、有料老人ホームで3年間修行を積み、その間に介護福祉士の国家資格も取得しています。
ご無礼な発言、どうかお許しください。
……田舎で生活するためのひとつの選択肢として、紹介させていただく次第なのです。
■ハロワー職員もオススメ、介護の仕事って実際どうなの?

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“ハロワー”とは、ハローワークの略称です。
1990年までは、職安(公共職業安定所)と呼ばれていました。
厚生労働省の出先機関で、職探しをしている人に求人情報を公開、募集会社と交渉してくれたり、失業保険給付の手続きをしてくれたりします。
他にもいろいろな機能を担っていますが、
「職探しに困ったら、ハローワークへ!(若干ネガティブな印象がありますけど)」ということなのです。

amadank / PIXTA
ひところ、再就職先を求めてハローワークに行くと、相談に対応する職員が真っ先に介護職を勧めるというパターンがありました。
実際に筆者も、40歳を過ぎて仕事で長年滞在していたインドネシアから帰国した際、冷やかし半分で東京のハローワークに行ってみたのですが、
書類の年齢を見るとニヤッと笑って「介護業界はいかがですか〜?」と聞かれました(本当の話です!ニヤッとは笑っていなかったかもしれませんけど)。
それほどに、介護業界は慢性的な人不足なのですね。
人手不足イコール、求人案件がたくさん。
加えて、無資格でもできる(※施設などの形態によります)、職業訓練給付金がもらえて介護ヘルパーの資格が無料で取得できる(by ハロワー)、などの特典(?)があります。
■介護業界が人手不足の理由は?

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介護業界が人手不足の理由は、
世間では「きつい・汚いから」「おばちゃん職員が怖すぎるから」「賃金がものすごく安いから」などと言われています。
この業界で働いてわかったのですが、「きつい・汚い」というのは、半分本当で半分間違っています。
というのは、家々を30分から1時間単位で巡る「訪問介護」、
住まいとして入居する「サービス付き高齢者住宅」や「特別養護老人ホーム」、「有料老人ホーム」、
日帰りで利用する「デイサービス」など、介護の重要度や目的別で、仕事のハードさが違うさまざまな職場があるため、一概には言えないのです。
■おばちゃん職員が怖すぎるって本当?

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次に「おばちゃん職員が怖すぎるから」。
……職員のなかには指導が厳しい年配の方がいますが、全員がそうとは限りませんでした。
新人の面倒見がいい人もいれば、いちいち難くせつけてくる人もいます。
筆者が新人の頃に遭遇した先輩女性職員は、やたらめったら突っかかってきたのですが、ある日、突然退職してしまいました。
あとで同僚のおばちゃん職員に聞いたら、なんと有料老人ホームのご入居者様をど突いてしまったのだと。
男性職員に厳しい理由は、不倫していたのがうまくいかなくて、大そう荒れていたからなのだそうです。
なんじゃそりゃ!?
■賃金が安いって本当?

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「賃金が安いから」……これは、地方都市では、必ずしもそうとは限らないのです。
地方の賃金は、どの職業も低めで、介護職も調理師も販売員も、もらえる給料に大した差がなかったりします。
となると、求人案件が格段に多い介護業界は、専門知識や資格など、
必須条件の敷居が低くて転職がしやすく(介護業界を転々としている人がたくさんいます。売り手市場なのです)、
年齢制限も65歳までだったり(その後、契約社員として再雇用され70歳くらいまで働ける)と、
高齢になっても正社員として働ける、安定した職場のひとつとみることができます。
えっ? おら?
ハローワークの回し者ではないですよ(続きます)。