室温の上昇を抑えるのに部屋が暗くならない“遮熱レース”って知ってる?

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もうすぐ夏本番。
海水浴やキャンプなどのレジャーが思いっきり楽しめる一方、お家の中で過ごすには工夫が必要な季節がやってきました。
先日、日本気象協会より2017年7月〜9月の3ヶ月予報が発表されました。
発表によると、全国的に例年より気温が高くなる確率は50〜60%、さらに8月には晴れの日が例年より多くなる見通しだそうです。

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「平均気温が例年より高め」という言葉には慣れっこになってしまいそうですが、体の方はなかなか慣れてくれません。
この夏を少しでも快適に乗り切るために、お家の中でどこか手軽に見直せる箇所はないでしょうか?
■熱の侵入の約7割がここ!
冷房を効かせているのに、なぜか蒸し暑い室内。
それは、室外から熱が侵入しているからです。
夏の冷房時に室外から侵入する熱の約7割は、窓などの開口部を経由しているという研究データがあります。
残りの3割は、床や壁、天井などの構造体を経由して侵入する熱ですが、この熱を削減するためにはリフォームなどの工事が不可欠。
なかなか気軽に行える作業ではありません。
そこで、窓から侵入する約7割の熱をいかに削るかというのが、夏を快適に過ごすための手軽かつ大切なポイントになります。
■窓の断熱対策。お手軽、かつ効果的なのは?

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窓の断熱対策といえば、ペアサッシやトリプルサッシ、窓の外につけるオーニングなどを思い浮かべる方も多いでしょう。
たしかにこれらはとても効果的ですが、問題は気軽に設置できないこと。
工事が必要だったり、高層階では取り付けること自体が困難だったりします。
そこで、専門業者に頼まなくても自力でできる対策を考えてみると……。
そう、身近なものがありますね!カーテンです。
■意外とすごい!カーテンの遮熱性能。しかし問題点も…
カーテンは室内に設置されているためか遮熱性能を過小評価されがちですが、意外と頼もしい実力をもっています。
遮光カーテンのような特殊生地でない通常のタイプでも、日射の9割以上をカットしてくれます。
普通に吊るしているだけで、太陽の光による気温上昇は大幅に軽減されているんですね。
ところが、問題点もあります。
この「日射の9割以上をカット」というのは、あくまで“ドレープカーテン”という厚手の生地の数値なんです。
そしてカットするのは“熱そのもの”だけではなく、“日射”全般、つまり光もカットするということ。

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これはドレープを閉めていれば非常に効果的な熱対策になる反面、外が明るい日中でも室内を暗くして過ごすことを意味します。
せっかく晴れた日なら太陽の光を感じながら過ごしたいですよね。
でも、熱対策はしっかりしたい……。
そんな場合は、どうすれば良いのでしょう?
■“遮熱レース”という選択肢。
一般的に“カーテン”と総称されているものは2種類に分かれます。
前述の厚手の生地を使った“ドレープカーテン”と、薄手の“レースカーテン”です。
レースカーテンはその薄さからは想像しにくいかもしれませんが、近年では熱対策に重点を置いた製品も数多く出回っています。
その代表格が、“遮熱レース”。
読んで字のごとく“熱を遮る性能を持った”レースカーテンのことで、元々はゴルフやテニスなどのスポーツウェア用に開発された繊維を転用したのが始まりで作られるようになった製品です。
この“遮熱レース”、生地のランクによっては遮熱性能が30%以上になるものも販売されています。
30%と言ってもピンとこないかもしれませんが、レースなしと比較して室内の気温差が3.5度のマイナス(遮熱性能のない通常のレースを使用した時と比べても2.5度のマイナス)というシミュレーション結果が出ている優れモノ。
体感的に過ごしやすさが変わるのはもちろん、冷房の電気料金にも影響します。

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ドレープ生地には及びませんが、日中の明るさを確保したまま快適に過ごすためには期待できる数値ですね。
手軽にできて効果的なレースカーテンの活用。
夏真っ盛りを迎える前に、“遮熱レース”という言葉を覚えてカーテン売り場に出かけてみてはいかがでしょうか。
【参考】
※ 日本気象協会 「3ヶ月予報」
※ 経済産業省 資源エネルギー庁「住宅による省エネ」
※ 東リ株式会社「遮熱糸レース(カーテン)Q&A」
※ 株式会社川島織物セルコン「CURTAIN NAVIGATION」