エキストラとして筆者も参加しました!映画『3月のライオン(後編)』盛岡ロケ地を巡る旅はいかが?
史上最年少中学生棋士・藤井聡太(ふじいそうた)四段の活躍によって、ずいぶんと将棋が注目されている昨今でございます。
将棋人口は2017年現在、子どもから大人まで、ざっくりと1,000万人とのことなので(※日本将棋連盟による)、
世間に注目されようがされまいが、将棋ファンは日々いたるところで対局しているのですね。
さて、将棋ブームの火付け役となった、羽海野(うみの)チカさんの将棋マンガ『3月のライオン』をご存知でしょうか。
原作のマンガは知らなくても、神木隆之介くん主演の実写映画『3月のライオン』が、2017年の春に全国の映画館で公開されたのは記憶に新しいと思います。
(映画は2部作で、2017年3月に前編が、2017年4月に後編が公開されました)。

神木隆之介くん主演の映画『3月のライオン』のポスターやパンフレットが、撮影場所のひとつである盛岡市の「南昌荘」玄関口に飾られていました
原作マンガには筆者の故郷・岩手県盛岡市が舞台のエピソードがあり、映画化にあたって2016年に盛岡ロケが敢行されました。
このロケで、ボランティア・エキストラ(文字どおり、賃金が発生しないボランティアの出演者です。ロケでは、お弁当と記念品の手ぬぐいをもらいました)の募集があり、筆者も3日間、撮影に参加してきました。

ロケの参加者に配られた、記念の手ぬぐいです
というわけで、なんだか将棋ブームだし、2017年の夏休みは『3月のライオン』ファンと神木隆之介くんファン、
そしてお暇な方のために、盛岡ロケ地ガイドをしたためてみました。
ちなみに、盛岡のロケ地が登場するのは、『3月のライオン』の後編です!
■盛岡の地に、主人公・桐山零が降臨!
神木隆之介くん演じる主人公、桐山零は、幼い頃に両親を交通事故で亡くしました。
父親の友人の棋士・幸田柾近(こうだ まさちか)さんの内弟子となり、15歳(中学生!)でプロの棋士になります。
原作マンガの7巻の終盤から8巻にかけて、新人王となった零くん(この時、高校生)が、
史上初の7大タイトル制覇し棋士の頂点に立ち続ける天才棋士・宗谷冬司(そうや とうじ)名人(演じるのは、加瀬亮さん)と記念対局を行います。
その対局場所のロケ現場のひとつが、盛岡市内にある「南昌荘」(盛岡市清水町13-46)なのです。
南昌荘は、明治18年頃に邸宅として建てられた由緒あるお屋敷。
南昌荘の庭園は、国の登録記念物に指定されています。
早朝に集合した我々ボランティア・エキストラは、撮影の準備が整うまで、その歴史ある建物の一室に待機。
スーツを着たむさ苦しい野郎ども(男)が20人くらい、和室に集っています。

南昌荘のお部屋のひとつです。我々エキストラの控え室もこんな感じでした(写真撮れず)
この日はまず、宗谷名人(加瀬さん)が南昌荘の美しい庭園を横切って建物の中へ入っていくシーンを撮影し、
次に宗谷名人が、零くん(神木くん)が待っている対局の部屋へ歩いていくシーンを撮り
(廊下には、エキストラ扮する記者たちが待ち構え、カメラでバシャバシャと名人を撮影します)、
室内で将棋盤を挟んで対面する名人と零くん、そしてふたりをカメラでバシャバシャの記者たちのシーン、
そして名人と零くん、ふたりだけの対局シーンの撮影が行われました。

宗谷名人が、職員に案内されて庭を歩いていきます

国の「登録記念物」に指定されている、美しい庭園です

入ってくる宗谷名人を記者が待ち構えていた廊下

廊下の左手が、主人公・桐山零と宗谷名人の対局の部屋です
筆者は、なぜかいつも神木くんの後方にいることになり、対局中の撮影では、彼の履いていた白い靴下をじっと見ているばかり。
映画の主人公を正面から見られたのは一瞬だけでした。
しかし神木くん、正座している後ろ姿はもちろん、靴下からもオーラが出ていました。
撮影は、カットごとにカメラの位置を変えて、照明を変えて、テスト、テスト、本番、はいテイク2と、ものすごく時間がかかります。
我々はボランティアのエキストラですが、大友啓史(おおとも けいし/盛岡市出身)監督は素人にも容赦しません。
本物の記者に見えるように演技指導があり、何回も同じシーンを繰り返します(だんだん本物に見えてくるんですって)。

打ち合わせ(?)する大友監督(左)の写真が飾られていました

サインと、記念の手ぬぐいが飾られています
南昌荘は一般公開されているので、映画の名シーンが撮影された場所にもアクセスすることができます。
ここは盛岡の市街地にあり、東北新幹線が停まる盛岡駅からは、なんとか歩いても行けます。
■ところ変わって、撮影は続きます

次のロケ地、「ホテル大観」。原作マンガをみると、主人公は盛岡駅からホテルのシャトルバスに乗って来たみたいです

写真撮影の許可が下りなかったらどうしようと、ドキドキ
盛岡ロケ4日目(筆者的には3日目)は、ところ変わって、盛岡駅から車で30分ほど行ったところにある、
「湯守ホテル大観(たいかん)」(盛岡市繋字湯の館37-1)での撮影でした。
ホテル大観は、原作マンガにも実名でばっちり登場している高級温泉ホテルです。

入り口にさりげなく、映画のポスターが飾られていました。なんか貼られていますが!
ここでも、宗谷名人と桐島零くんの対局がメインで撮られました。
主役の神木くん、加瀬さんに加えて、日本将棋連盟の会長で第16世名人の神宮寺崇徳役、岩松了さんが参加されています。
湯守ホテル大観は、御所湖という湖の周りにいくつもの温泉宿がある繋(つなぎ)温泉の一角をなし、
ひとり1泊3万円以上する、とっても豪華なお部屋があったりしますが(地元のテレビ番組で、よく紹介されます)、日帰り入浴も可能です。
温泉は、100%源泉掛け流しです。

他人と風呂に入ったことがないという現代っ子・桐山零くん、大浴場には入らず!
御所湖が一望できる広い浴場と露天風呂、わざわざ盛岡に来て入浴する価値あり!
遠方から訪れる人のために、盛岡駅からシャトルバスが出ていますので、ロケ地巡礼にも便利でしょう。
撮影当時は写真撮影厳禁だったため、この記事を執筆するにあたり、あらためて大観さんに行ってきました。
夕方に訪れた、いかついおっさん(筆者)に対してフロントの方はとても親切で、
「お客様がいらっしゃらなければ、撮影に使われたお部屋をお見せできましたのに……」
と言ってくれました。
そして、
「館内撮影してもいいですか? ネットに載せてもいいですか?」
とお尋ねしたところ、あっさりと快諾してくれましたよ。
しかも、日帰り温泉の受付時間が終わっていたのにもかかわらず、
「せっかくいらしてくださったんで……」と、
まさかの入浴OK(フロントの人、そういえば標準語で話していましたっけ)。
とうほぐ(東北)の人たちは、気持ちがあったけえ(暖かい)んです。

会場の前の廊下で、我々エキストラ扮する記者とビデオ撮影のクルーがたむろしているところに、
颯爽(さっそう)と宗谷名人がやって来ます

角を曲がって、こっちに向かってくる宗谷名人(加瀬さん)。慌ててビデオカメラを構える撮影クルー。我々エキストラがヘッポコで、撮り直しが続きました……。

エキストラの控え室だったところ
ところで、映画『3月のライオン(後編)』のブルーレイとDVDは、2017年10月18日(水)発売とのこと。
後編DVDの発売を待っていると夏休みが終わってしまうので、まあとにかく盛岡へおでってくなんせ(お越しください!)。

繰り返します。盛岡ロケは、映画の後編です
※ 南昌荘
※ 湯守ホテル大観