外国人観光客に大人気!「中銀カプセルタワー」のツアーに参加してみたら…
東京・中央区銀座8丁目にあるちょっと変わったビル、中銀(なかぎん)カプセルタワーって知っていますか?
今、外国人観光客に大人気の観光スポット!? なんです。
この建物は、建築界の巨匠そして東京都知事選出馬でも一躍有名になった建築家、故・黒川記章の設計した1972年竣工のマンションです。
このマンション、とても特徴的なカタチをしています。
上の写真を見ていただくとわかると思いますが、小さな立方体のカプセルがたくさんくっついたようなカタチをしています。
そのカプセル部分が住宅になっているのです。
当時流行したメタボリズム(新陳代謝)という概念から生まれた建物で、時代や用途の変化に応じて、そのカプセル部を外せる仕組みになっています。
ビジネスマンのセカンドハウスや書斎として活用されることを想定していたため、テレビ・ラジオ、電話、空調設備などが備え付けになっています。
この面白い建物の中を探索、そしてその一室で参加者とお茶やお菓子を楽しみながら、
この茶室的空間についてレクチャーを受けるというユニークなイベントに参加してきました。
■黒川紀章の経歴を知ることで、カプセルタワーがより深く理解できる
なぜ、茶室空間!? と感じた方もいるかと思います。
実は、中銀カプセルタワーを設計した黒川紀章は、あまり知られていませんが、伝統的な数奇屋建築や茶室を数多く手掛けています。
建物の中に入ってみるとそこは異空間。
1970年代にタイムスリップしたような、まるで近未来の廃墟のような……、頭の中で色々な空想ができる空間です。
いよいよ内部(カプセル部)へ入ってみます。
せ、せまい……。
なんと10平米(約6畳)の中に「キッチンスペース」「ユニットバス」「デスクTVユニット」が収められています。
ですので、人が居られる場所は実質5平米くらいですね。
その5平米の空間で、この建物の歴史や建築家のことをツアーガイドの方が説明してくれます。
建築にあまり詳しくない方でも楽しめるようにクイズなども用意され、
またプロにも役に立つ雑学なども織り交ぜながら、軽快なトークで、かなり盛り上がります。
参加者は学生さんや建築好きな方、この建物に興味がある方などが参加していました。
■不思議なことに、慣れてくるとせまさがむしろ心地よい!?
レクチャーの途中で気付いたのですが、さっきまですごくせまいと感じていたはずの空間が、まったくせまく感じなくなっていました。
むしろ、このせまさが心地よくなっていました。これには驚きでした。
茶室とは2畳や4.5畳ほどのとても小さな空間ですが、ここを茶室的空間と捉えることでせまさを感じず、居心地の良い空間になっているのでしょうか!?
レクチャーを聞き、空間を体験すると、建築家の意図を感じられたような気がしました。
空間の捉え方を変えるだけで、居心地の良い空間に変えられることを学べるオススメのツアーです。
外国人向けには、さらに「茶道体験」をオプションとして提供しているようです。
リクエストがあれば、日本人向けにもツアーにプラスできるとのこと。
黒川紀章が実は「数寄屋建築」に造詣が深かったことを理解した上で茶道を体験すれば、さらに中銀カプセルタワーの見方も変わるはず。
次回はぜひ参加してみたいと思っています。
また今回取材にご協力頂いた東京建築アクセスポイントが開催する建築ツアーは、誰でも楽しめると定評があり、
このツアー以外にも多様なツアーを催しています。
ちなみに今回筆者が参加したツアーの料金は一般3800円 / 学生3000円(保険料、お菓子代、資料代込)です。
取材協力・写真提供:東京建築アクセスポイント