大家さんって、実際なにをしているの?

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はじめまして。「なんでも大家」のアサクラです。
東京の世田谷で古くて小さな賃貸マンションを管理&経営しています。
「なんでも大家」という肩書については記事のなかで説明するとして、みなさんは「大家」という言葉を聞いて、いったいどんなイメージを思い浮かべますか?
■世の中にはいろんな「大家さん」がいる

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小さくて古いアパートやマンションの一階に住んでいて、朝、ホウキで入口を掃いているおじいさん(あるいはおばあさん)……
「大家さん」には、そんな古めかしいイメージがあると思います。
ちなみに、「大家」は言葉の意味としては「オーナー」と同じですので、投資目的で賃貸マンションを所有しバリバリ利益をあげている人も「大家さん」ですし、
分譲マンションを購入したけれど、結婚や出産や転勤で住めなくなってしまったので貸しに出しているという人も「大家さん」です。
要するに、物件を所有していて賃貸に出している人なら、みなさん「大家さん」なのです。
ですから、世の中に山ほどある賃貸物件の数だけ「大家さん」がいて、みなさんそれぞれのやりかたでマンションを管理したり、経営したりしているんですね。
■大家のとある一日の「タイムスケジュール」をご紹介
そこで、ごくごく私的ではありますが、アサクラのとある一日の「タイムスケジュール」をざっとご紹介してみることにしましょう。

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AM9:00・・・
銀行のATMにて家賃入金を確認。未納の方がいるので、ショートメールでお知らせする。
(※家賃の催促は正式には管理会社の仕事なのですが、払い忘れと思われる場合には、とりあえずメールでお知らせして様子を見ます)
AM9:10・・・
宅配ボックスに預けっぱなしの荷物があるので、マスターキーで回収し、宛先の入居者さんにショートメールで連絡する。
(※うちのマンションの宅配ボックスは数が限られているので、基本的に3日を過ぎた荷物は回収してお預かりしています)

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AM11:00・・・
リノベーション中の空室にて建設会社の担当者さんと打ち合わせ。
玄関の土間にDIYでモザイクタイルを貼る予定なので、現場の工事業者さんの邪魔にならないように日程を調整する。
(※DIYで大事なのは、とにかく現場としっかり連携して迷惑をかけないこと。スケジュールに多少の余裕をもって相談するようにしています)
提案してもらったシュークローゼットの取っ手が大手メーカー製でしっくりくるものがないので施主支給することにする。
(※取っ手ひとつでもインテリアの印象はガラッと変わるので、なるべく自分で選びます)

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AM12:40・・・
目黒通りまで出かけ、インテリアショップを趣味半分仕事半分でハシゴする。取っ手のほか、リサイクルショップにて照明も購入。
(※最近はネットショップも充実していますが、実店舗は現物を手に取れるのが強みです。
また、賃貸は照明器具が付属しないことも多いですが、うちでは必ず部屋の雰囲気に合わせて備えつけます)
PM3:00・・・
顧問税理士さんの事務所に寄って打ち合わせ。
工事費が予算を超過していることを指摘され、「お金を使いすぎじゃないですか」とたしなめられる。
新しい部屋が予定どおりの賃料を取れるか不安になる。
(※予算を忘れてついつい趣味に走りがちな自分には耳が痛い言葉ですが、マンション投資を専門にしている税理士さんのシビアなアドバイスは参考になります)

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PM6:20・・・
今日の工事が予定より長引いたため、ご近所から騒音のクレームがくる。
すぐに作業をやめてもらい、謝りに行く。
(※リノベーションは終盤にさしかかると、スケジュールに遅れが出ることが多く、作業時間も伸びてくるものです。
とはいえ、ご近所には夕方5時までと告知しているので、怒られても仕方ありません。
遅れを取り返そうと残業でがんばってくれている現場の方を止めるのも申し訳なく、大家としてはツライところです)

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PM7:00・・・
入居者の方から電話。カギを室内に置き忘れたとのこと。マスターキーにて開錠。
(※ご夫婦やカップルでお住まいだと、先に出かけたほうがカギを忘れるということはわりとあります)
PM8:00・・・
夜の現場でモザイクタイルを仮置きする。イメージどおりで満足だが、目地の色に悩む。
(※タイルは業者に依頼すると高額なこともあり、DIYで貼っています。経費削減にもなりますが、むしろ趣味です)

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PM9:00・・・
友人のカメラマンに連絡し、完成した物件の写真撮影をお願いする。
(※物件写真は内見への大事な入口です。プロが撮影した物件写真は不動産業者の写真とは雲泥の差で、集客にも効果があります)
PM10:00・・・
入居者の方が帰宅したというメールがきたので、預かっていた荷物を渡す。

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PM10:20・・・
廊下の電球が切れかけてチカチカしているので、物置きから脚立を出してきて交換。
(※電球交換はマンション管理の基本的な仕事のひとつです。廊下の電球などは意外に高いところに設置されていることも多く、足元に注意しないと思わぬケガをしかねません)
いかがでしょうか?
みなさんが「大家さん」という言葉でイメージするのと重なる仕事もあれば、意外に思われる仕事もあるんじゃないでしょうか?
この日は、リノベーションが佳境に入っていたせいで、仕事がつまってバタバタした一日でした。
■できることは「なんでも」やる

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リノベーションの細かいプランニングやモザイクタイルの施工など、ふつうの賃貸オーナーなら自分ではやらない仕事かもしれません。
でも、マンションを管理し、そのうちの一室に住んでいる自分にとっては、マンション全体は自宅の延長のようなもの。
インテリアに関わることはなるべく自分で決めたいし、できるならDIYで自分好みの住まいを作りたいと思っています。
それに、できることはなんでもやったほうが経費の削減になるし、いろいろ勉強にもなるし、わりと楽しい――これが、僕が「なんでも大家」を名乗る理由です。
賃貸マンションの大家としては少々変わっているのかもしれませんが、
賃貸マンションを探す方や中古マンションのリノベーションを考える方にも役立つ情報を提供していけたら、と思っています。
次回は、賃貸マンションを借りている人も無関心ではいられない、マンション管理の話をしたいと思います。