介護職員直伝!感染者を最小限にするためのノロウィルス対策

※イメージです
10月になりましたが、まさかのポカポカ陽気の日も結構ありましたね。
今年(2017年)の冬は、暖かいのでしょうか。
暖かいといいなぁ。
さて以前、介護職員は見た!冬の2大迷惑ウィルス、インフルエンザとノロウィルス対策という記事を書きました。
ノロブームが到来する前に、家庭でできるノロウィルス対策をお伝えしたいと思います。
■家庭で嘔吐したら、ノロウィルス感染を疑いましょう

これがウワサのマーライオン。口から吹き出ているのは水でした
筆者は介護施設で働いているので、施設のノロ対策の講習会を毎年のように受講しています。
基本的には、ノロ発生時の対処方法は、施設も家庭も一緒。
ノロ感染から発症しての初っ端は、勢いよく嘔吐することです。
よく、シンガポールのマーライオンに例えられる、ノロ発症時の嘔吐。
普通はゲロッとこみ上げてくる例のモノが、口から噴水のように飛び散るそうです。
幸か不幸か、実物はまだ見たことはありません(多分「幸」です!)。
施設の講習会で使うのは、吐瀉物に見立てたトロミのついた液体です。
皆さんも、家庭で吐瀉物とご対面してしまった際は、以下の要領で処理することをお勧めします。
■1・まわりの人は速やかに避難を
嘔吐してしまった人以外は、速やかに部屋を出ましょう。
吐瀉物を浴びてしまった人は、残ります。
ノロウィルスは感染力が強いので、ちょっとした飛沫の接触も危険です。
■2・対処する人は(なるべく)ひとりだけに
何人かで片付ければ当然早いのですが、それだけ感染する危険度が増します。
ということで、吐瀉物の片付けは、ひとりが理想です。
この時、用意するものを書いておきます。
●使い捨てマスク
●使い捨て手袋(介護などで使う使い捨て手袋を備えておきましょう)
●使い捨てエプロン(なければ、普通のエプロンを使いますが、後で消毒が必要です)
●ポリ袋数枚(大きなものほどよいです。吐瀉物を始末した紙や汚染された衣類を入れます)
●たくさんの新聞紙(拭き取り用)
●キッチンハイターで作った消毒液(作り方は、のちほど)
●スプレー容器(消毒液を入れます)
●バスタオル(消毒液を染み込ませて踏んづけ、スリッパなどの裏を消毒します)

なかでも、キッチンハイターは必需品です
■3・エアコンはすぐに停止し、まずは吐瀉物の応急処置を
吐瀉物の始末が先か、吐瀉物まみれの人が先か?
悩ましいところですが、まずは、エアコンなど、空気をかき乱している機器を停めます。
次に、すばやく吐瀉物を覆うように新聞紙をかけてください。
飛び散ったところすべてにです。
そして、新聞紙に消毒液(塩素濃度約200ppm)をかけて濡らします。

nara / PIXTA(ピクスタ)
これは、乾燥したノロウィルス入り吐瀉物が空気中に舞い上がり、それを吸って起こる二次感染を防ぐための処置です。
新聞紙に消毒液をかけたら、吐瀉物まみれの人の対応に移ります。
■4・着替えはその場で、が鉄則
あちこち部屋を移動すると、それだけ飛沫が飛び散るので、嘔吐した人は現場を離れずに、その場で吐瀉物がついた衣服を脱いでください。
対応する人は、衣服を受け取り、ポリ袋に入れます。

Nutria / PIXTA(ピクスタ)
この時、袋の外側に吐瀉物が付かないように注意が必要です。
ポリ袋ほか、現時点ではすべて現場から出してはいけません。
■5・嘔吐した人を浴室へ誘導
家族が数人いれば、もうひとり出動してください。
誘導する人は、使い捨てマスクや手袋で完全防備を施し、嘔吐した人を浴室へ誘導します。
道中、吐瀉物が床につかないよう新聞紙を敷き、その上を歩いてもらうと良いでしょう。
追い★ロ(再度の嘔吐)は、バケツか何かにしてもらい、決して床にこぼさないように。
移動中、床に吐瀉物が付いてしまったら、踏んづけないように気をつけ、誘導後に新聞紙+消毒液でカバーします。
浴室では、お湯で入念に吐瀉物を洗い流してください。

温水で十分に、いろいろアレなものを洗い流します
トイレに行く時は、大便にもノロウィルスが入っているので、トイレ消毒も必要になります。
消毒するまで、ほかの人は使用できません。
■6・吐瀉物の処理は、消毒液の染みた新聞紙で速やかに
吐瀉物の処理は、消毒液の染みた新聞紙で。静かに、外側から内側へ吐瀉物を集めます。
最後に新聞紙で拭き取り、消毒液をかけてすぐにポリ袋へ。
手袋に吐瀉物が付いたら、あちこち触る前に交換します。
吐瀉物を拭き取ったら、床一面に消毒液(塩素濃度約200ppm)をスプレーします。

Graphs / PIXTA(ピクスタ)
これで、まずひと段落。
■7・吐瀉物を捨てるときは消毒液を入れてポリ袋を二重に
吐瀉物を捨てるときは、漏れないようにポリ袋を二重にします。
中には、消毒液(塩素濃度約1,000ppm)を入れて、廃棄物が液に浸るようにします。

beinluck / PIXTA(ピクスタ
袋の口は固く結び、内容物が出てこないように気をつけます。
■8・衣服の処理もきちんと
汚染された衣服など洗えるものは、手袋を着けて浴室の流水で静かに下洗いし、浴槽に85度以上のお湯をため、1分以上浸します(熱水消毒)。
その後は、使用後の浴槽などは、消毒液で殺菌(塩素濃度約200ppm)し、洗剤で洗い流します。
食器などは、キッチンで熱消毒し、その後洗剤で洗います。
消毒液は家庭用キッチンハイターで作るのですが、金属への腐食作用があるので、拭き残しがないように注意しなければならないそうです。
■9・嘔吐した人は二次感染を防ぐために隔離
嘔吐した人は浴室で吐瀉物を洗い流したら、着替えてとりあえず寝ていただきましょう。
ただし、二次感染を防ぐために、他の家族からの隔離が必要です。
処理が終わったら、かかりつけ医や病院、保健所に電話して、ノロ罹患者と思しき、家人への対応の仕方を聞きます。
病院での診察で「ただの食べすぎによる嘔吐」「食あたり」などと診断されるケースがありますけど、
冬場の吐瀉物は、ノロ対応モードで行うと安心でございます。
家族が感染してしまうと、しばらく仕事に出たり学校に行くことができなくなりますよ。
ノロウィルスによる嘔吐時は、処理する際に素手で触らないことと、ちゃんと消毒することが大切。
乾燥した飛沫を吸い込まなければ、二次感染は防ぐことができるそうです(100%の保障はないです)。
■10・使ったマスクや手袋、汚れた新聞紙などもきちんと処分を
使ったマスクや手袋、汚れた新聞紙などは、ポリ袋に入れて中身がこぼれないようにしっかりと口を閉めたら、可燃ゴミに出していいそうです。
袋は二重にすると、破れても安心ですね。
■消毒液は塩素系ハイターで作ることができる
ノロウィルスには、アルコール消毒は効果がなく、次亜塩素酸ナトリウムが効果的です。
次亜塩素酸ナトリウムは、家庭用キッチンハイターやハイターに含まれている成分。
洗濯用の酸素系ハイターではなく、塩素系と表記されているものを使用します。
●200ppmの消毒液
水5リットルに対して、ハイター20ミリリットル(キャップ約1杯)を入れます。
●1,000ppmの消毒液
水1リットルに対して、ハイター20ミリリットル(キャップ約1杯)を入れます。
2リットルのペットボトルや牛乳パックを利用して、水を計ると分かりやすいです。
消毒液は、バケツやペットボトルに入れて使用すると良いでしょう。
紫外線(日光)や高温で効果を失いますので、作り置きしてもムダになります。
使う時に調合する必要があるのです。
介護施設によっては、冬場は毎日作っておき、1日経ったら捨てて作り直す、という作業を繰り返しています。
老人ホームなどの介護施設だと、個室で隔離しやすいので、万が一のノロ対策もバッチリといった感じです。
以上、介護施設でも行う嘔吐処理の仕方でした(簡単に書きましたけど……)。
介護職員がノロウィルスに感染すると、検査でウィルスが出なくなるまで自宅待機となってしまいます。
筆者の場合、まさに商売上がったりになってしまうので、日頃から手洗いには入念にしている次第です。
【参考】