おトクとは限らない!? 知っておきたい「敷金礼金ゼロ物件」の真実

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日刊住まいの読者の皆さん、はじめまして! フリーライターのAwaiと申します。
不動産に関係する資格(宅地建物取引士、FP2級技能士、賃貸不動産経営管理士)をいくつか取得しつつ、
不動産や住宅関連の記事をメインに執筆活動もしています。
今回、日刊Sumaiのライターとして皆さんのお役に立つ記事を書かせていただくことになりました。よろしくお願いします!
記念すべき最初の記事は、「敷金礼金ゼロ賃貸物件」についてです。

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引越しにはたくさんのお金が必要になります。
特に費用がかかるのはもちろん家賃ですが、賃貸物件の場合その内訳に「敷金礼金」があります。
通常、敷金礼金の相場は「敷金:家賃1か月分、礼金:家賃2か月分」となっているケースが多いようです。
しかし最近では、“敷金礼金ゼロ”とする賃貸物件も増加しています。
費用を少しでも抑えたい入居者にとっては一見嬉しいサービスに思えますが、本当にそうなのでしょうか?
そこには、“トク”するはずなのに“ソン”となってしまうかもしれない落とし穴が……。
■意外と知らない人が多い「敷金礼金」についておさらい

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プライベートな話になりますが、引越しを検討している友人から「敷金礼金の違いがわからないから教えて!」と相談を受けました。
その場にいた他の友人たちも詳しくは知らない様子でちょっと驚きです。
「内容は知らないけど払うルールだからとりあえず払っている」という人も多いはず。
敷金と礼金の違いについて、以下に簡単にまとめてみます。
・「敷金」
担保として家主に渡すお金のことをいいます。
簡単に説明すると、家賃を滞納してしまった場合や、退去時に原状回復費用として必要となる修理費・クリーニング代を「ここから代わりに払っちゃいますね」というものです。
保証人ならぬ“保証金”と思ってもらえば、わかりやすいと思います!
・「礼金」
家主に「入居させてくれてありがとう!」と感謝の気持ちで渡すお金のことをいいます。
海外には礼金制度がない国もあるようで、律儀な日本人らしい風習ですね!
■「敷金礼金ゼロ」の賃貸物件が増加している理由とは?

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ここ数年間で「敷金礼金ゼロ賃貸物件」がかなり増加しました。
その理由はいくつかありますが、中には所持している物件を誰かに貸して「家賃収入」を得ることで生計を立てている家主もいます。
賃貸物件はずっと埋まっているわけではなく、空室状況が続くことも珍しくはありません。
その背景には「平成28年度現在、貸家は5年連続で増加」という深刻な状況があるからです。
礼金も収入源としている家主もいますが、空室が続けば本末転倒になっちゃいますよね……。
そこで、敷金礼金をゼロにすることで入居者が住みやすい環境を提供するようになった結果、敷金礼金ゼロ賃貸物件が増加したわけです!
■実は…「敷金ゼロ」でもおトクとは限らない!

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ここからがタイトルの答えです!
それは、“敷金は0円でもその都度、部屋のクリーニング代・修理費やトラブルになったときのお金が必要になるから”です。
確かに入居当初の初期費用は抑えられますが、後々になって結局、変わらなくなってしまうこともあります。
この事実を知らないと「安く済ませられたはずなのに……」と、おトクに感じた気持ちも一転、ソンした気分に。
そして敷金ゼロの保証金がない状態だと家主にはリスクがあります。
補填金として別途費用を要求されることもあり、金銭トラブルの原因になる恐れもあるので、
事前に追加料金が必要となるケースがあるかどうかを確認することが大切です。
【参考】
※ 建築着工統計