本当は怖い!? スウェーデンのサンタクロース「トムテ」のヒミツ

Pressmaster / shutterstock
もうすぐクリスマス。
サンタクロースといえば、誰しもが「ふくよかな姿」で、いい子にしていればプレゼントをくれる「優しいおじいちゃん」というイメージではないでしょうか?
しかし、スウェーデンのサンタクロースは少し違います。
スウェーデンで古くから信じられている、ちょっと変わったサンタクロース「トムテ」についてお話しします。
スウェーデンのサンタクロースは「ヤギ」に乗ってやってくる!?
サンタクロースは、スウェーデンでは「トムテ」と呼ばれています。
トムテとは、北欧の森や古い農家に住んでいる妖精のこと。
トナカイではなく、ヤギに乗ってやってきます。
こんなスウェーデンの森の中から、ひょっこりと出てきそうな妖精トムテ。
でも、もし会えたとしても、あまりうれしくないかもしれません。実は美しく優しい妖精からは程遠く、いじわるでイタズラ好きで、“妖怪”と訳すのがぴったりな存在なんです。
スウェーデンの森や古く清潔な農家の納屋に住んでいる『トムテ』
トムテの風貌は、サンタクロースに似ているようで、少し違います。
白く長いあごひげと、暗闇で光る眼、四本指ととがった耳、赤い帽子と、紺や灰色のボロボロの服。
そして背は子どもくらいです。お世辞にも美しいとは言えない姿です。
働き者だけど、気性の激しい「トムテ」
悪戯をするけれど、トムテはとても働き者。夜、人間が寝ている間に、馬の世話をしたり、家や家族を守ってたりしてくれています。
もし、家に火がついても、トムテが火を消して、火事を防いでくれると言われていて、スウェーデンの多くの家庭には、どこかに「トムテ」の人形や置物があるのです。
働き者の「トムテ」ですが、機嫌を損ねてしまったら大変です。納屋にあるものをすべて盗み、農家を出ていくのです。
家畜を大事に扱わない農夫を棒で殴ったり、子どもに手をあげる親の手を叩いたりと、とても怖い存在です。
クリスマスプレゼントは、「トムテ」へ
日頃から、家や納屋を清潔に保ち、トムテのご機嫌をとっているスウェーデン人ですが、年に1度は、さらに感謝を表す日です。
クリスマスイブには、トムテのために、テーブルいっぱいのご馳走を並べておくのです。人間からトムテへの、“クリスマスプレゼント”です。
トムテは、お米に砂糖と牛乳を加えて炊いたおかゆが大好き。このおかゆは「トムテ粥」と呼ばれ、甘くておいしく子どもたちに人気です。
ご馳走を食べた「トムテ」は大喜び。さらに家族のために、仕事をして、家族に幸福をもたらしてくれるのです。
一方、このお粥を忘れると、その家庭には不幸が訪れると言われています。
そんな「トムテ(サンタクロース)」ですが、最近ではアメリカやイギリスからの影響で、スウェーデンでも、子どもたちにプレゼントをくれる「優しいおじいさん」というイメージが定着しています。
子どもたちは、「優しいトムテ」にお願いするプレゼントを一生懸命選びます。
しかし、やはりクリスマスイブには必ずお粥を作り、トムテにプレゼントをします。
日本でも、「いい子にしていないと、トムテの怒りに触れるよ!」とスウェーデンの「トムテ」のお話、してみてはいかがでしょうか?