みなさんは「自由設計」と聞いてどんなイメージを思い浮かべますか?
私の想像していた自由設計って、なんでもかんでも好きに出来て、
ちょっとした思いつきもその場で対応できるようなものならチョイチョイとやってくれる……
というイメージでした。
工務店によって全然違うと思うのですが、
個人的には自由設計って「オーダーメイド」より「セミオーダー」くらいの気持ちの方がしっくりくる印象です。
工務店のプランとちょっと違うことをしようとすると、
すべてに「手間賃」がかかるのだなと思っていた方が心構えとしてはいいかもしれません。
工務店には懇意にしているメーカーが存在する!?

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大きな工務店はたいていの場合、
「キッチンならこのメーカーの中から選んでください」「バスルームはこちらの中から」というプランが存在します。
それは「メーカーとすでに契約しており、契約している商品なら定価より安く仕入れられるから」なんですね。
なので、すでに「キッチンは絶対このメーカー!」「お風呂はこのメーカー!」「床材は絶対これ!」等の強い希望がある場合は、
契約前に工務店に聞いてみるのもいいと思います。

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というのも、もし工務店が契約しているメーカーだった場合、価格がかなり抑えられるから。
工務店のスタイルにもよると思うのですが、
我が家の場合は設計プランが存在したため、
「契約しているメーカーの中から選べば、グレードさえ変えなければプラス料金ゼロだけど、
違うメーカーにした場合、本体料金まるまるかかるうえに仕入れ値も安くならない」ということがありました。

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A、B、C社で本来の定価約50万円、
グレードを上げるとプラス20万円のカウンターがあるとします。
工務店が契約しているA、Bの2社から選べば、
最初の設計プランに入っているためプラス料金はゼロ、グレードをあげてもプラス10万円。
でもAでもBでもなくC社のこれがいい!なんてのがあると、本来の定価がほぼ同じでも
「工務店が契約していないメーカーなので本体そのままの価格の50万、
もしグレードを上げたりしたら契約しているメーカーの場合プラス10万円のオプションでもプラス20万円、つまりトータルプラス70万円になる」
なんてことがあったんです。
一瞬頭がこんがらがりそうでした(笑)。
A社からもB社からも品物を仕入れる前なのに、そのお金をC社に回せないの!?
本来定価同じなんだからなんとかならないの!? とシロウトはつい思ってしまいますよね。
でも、そういう仕組みが工務店にあるからこそ価格を抑えて仕入れられるんですよね。
もちろんお金を支払えば、なんでもかんでも好きにできると思います!(でも我が家は無理!!)
職人さんを軽く見てはいけません

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他にも、私の自由設計のイメージって
「トイレットペーパーホルダーは自分で注文したものがあるからそれをつけてくださーい」とか
「表札は自分で作ったのでこれをつけてくださーい」なんていうのは
「本来ならつけるものを商品を自分で用意しただけだから無料でついでにやってもらえる」
くらいの気持ちだったんです。

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ところが、表札ひとつでも工務店を通せば
「表示価格はすでに手間賃まで込みでの価格」なので、
「表札いらないからその料金を値引いて!」となると手間賃も支払わないことになるので
「これ適当につけといて」レベルでも「工務店を通せば料金が発生するのが通常」ということでした。
いろんな方のブログでよく「大工さんにお願いして取り付けてもらっちゃいました!」
ってお見かけするのは、本当に本当に
「大工さんの心意気」「大工さんと顧客の良好な関係性」ゆえの結果であり、
「言えばやってくれるだろう」というかるーい姿勢でいてはいけないということを学びました……。
工務店も「みなさんそういう情報を見たり聞いたりしているので、
当然やってもらえると思っていらっしゃる方が多くて実際困っている」
とも、おっしゃっていました。
職人さんたちも、プライドを持ってお金をもらってお仕事しているプロの方。
軽々しく言えばやってくれるだろうなんて態度では失礼なんですね。
軽々しくできない理由は…責任の所在がわからなくなるから!

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最近はネット通販なんかで個人とお店をつなげてくれるため、安くオーダーメイドが出来たりしますよね。
「こういう風にしたい!ネットで調べたら10万円もあれば買えそう!!!」と、工務店に相談すると
「うちで請け負うとなると手間賃も含めて30万円かかってしまうんです」ってことが何回もありました。
というのも、手間賃はもちろん補償や責任というものも大きいんです。例を書きますね。

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Aさんはアイアン調の手すりを付けたかったので、安く済ませるため個人でオーダー。
大工さんに取り付けてもらいましたが、1年で手すりが外れてしまい、
工務店に相談したところ、手すりは工務店を通して発注していないため、
手すりに問題があったのか、工事に問題があったのかがわからないため補償の対象にならないとのことで
補償は効かず、別途お金を支払ってやり直しました。(場合によっては手すりからつくり直し)
Bさんはアイアン調の手すりを工務店を通してオーダーしてもらい、取り付けてもらいました。
1年で手すりが外れてしまい、工務店に相談したところ、つくり直して再度つけてもらいましたが、
補償が効くため追加料金の支払いはありませんでした。
このAさんとBさんの場合、最初の段階で20万円の差額は発生しているのですが、
多く支払ったBさんは本来のルートである工務店を通してオーダーしているので、
不具合があっても補償や責任は工務店にあるため、やり直してもらえたんですね。
最初はAさんみたいなことが出来るのが自由設計の特権だ!!!と思っていたのですが、
確かにこの例を見るとそもそも手すりに問題があった可能性もあるのに
とりつけた工務店に責任があるという流れになるのはおかしいのです。
なので、工務店サイドとしては
「直接大工さんとやり取りしてつけてもらったのならなにも言わないが、
工務店サイドが大工さんに依頼をしてつけてもらったら責任は工務店に発生するため出来ないんです」。
地元密着型の小さな工務店なら、もしかしたら多少なあなあに出来たりするのかもしれませんが、
大きな会社ほど「例外」を作らない傾向が強いはずです。
(〇〇さんの家はやってもらったって言ってた!!!なんてことになりますからね)
「お金払いたくないなら自分でつけてね」は至極まっとうな話!?
ここまで知ってしまうと納得せざるを得ない、とわかるのですが最初は
「トイレットペーパーホルダーなんてネジ留めするだけなのに」
「通常取り付けるものを自分好みにしたくて用意しただけなのに」
「商品代だって自分で出してるのに取り付けるだけで別途お金が発生するなんて!何千万円も払っているのに! けちんぼー!」
……って、思ってました(笑)。
手間賃が入っていないうえにもちろん補償だってないのですから安いのは当たり前っちゃ当たり前。
補償もいらないからつけてー!なんて思いましたけど(むしろ今も思ってますけど)、
そもそも手間賃支払っていないんですから論外です。
「お金払いたくないなら自分でつけてね」は至極まっとうな話ですよね。

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我が家の場合、工務店の提示してくださったものの中に予算内で好みのものがなかったのと
できるだけコストを抑えたかったのもあり、
柵と表札、ポストを自分で用意する予定をしているのですが
果たして大工さんが心意気でつけてくれるのか、はたまた自分でつけることになるのか……。
大工さんと仲良くなるのがこれからの課題です。