現時点では61年?「マンションの寿命って一体何年なのか」問題について考える

 

建築構造設計を専門とする一級建築士事務所に勤務する、島田大輔です。

今まで様々な機関や会社、行政でさんざん話されてきた

「分譲マンションの寿命っていったい何年なのか」問題についてお話したいと思います。

 

■日本初の民間企業による分譲マンション!

まずこちらのマンションをご覧下さい。

1956年竣工の四谷コーポラスは、築61年を迎えた集合住宅で、

「日本初の民間企業が販売した分譲マンション」とされる建物です。


ちなみに、公のマンションとしては初めて、

渋谷区の宮益坂ビルディングで昨年建て替えが開始されました。

区分所有法施工前、そして住宅ローンなど、今では当たり前のことですが、

当時はそうしたものがなにもない世の中でした。

そこで、共有部の管理についてや割賦販売の導入など、

当時としてはかなり革新的な取り組みを行ったマンションでもありました。

 

■築60年超の「四谷コーポラス」「宮益坂ビルディング」とは?

「四谷コーポラス」は、外観は片廊下型のマンションで、

内部空間はメゾネット形式の部屋を有する建築的にも新しい試みを行ったマンションでした。

ヴィンテージマンションとはまた違った立ち位置のマンションですが、

現在のヴィンテージマンションを語る上で避けて通れない重要な存在です。

そして、このマンションも遂に今年建て替えのために取り壊しとなりました。

すこし空虚な気持ちになりますが、これも歴史として大切な1ページを刻む上で必要不可欠だったのかもしれません。

また「宮益坂ビルディング」も初の分譲マンションとして63年の歳月を経て、2016年に建て替えが始まりました。

ここの場合は、渋谷駅徒歩数分の立地で、お隣には、渋谷ヒカリエが。

竣工当時より様相が大きく変わり東京を代表する商業地域の中心となりました。

日本には宮益坂ビルディングの築63年を超えるマンションがありません。

宮益坂ビルディングについては、地域性や東京都が建てた建物だったりと特異性が高いため、

今後四谷コーポラスの築61年という数字が分譲マンションのベンチマーク的な数字となってくるのではないでしょうか。

様々な考え方がありますが、現時点では民間の分譲マンションで最長は築61年という事実があるのです。

 

■61年。これが一つの答えなのかも

もちろん、今ある建物は、経済的寿命、社会的寿命の他に

建築的寿命、つまり耐候性や防水性や設備の更新性や、

使用しているコンクリートの材料強度などが当時とは比べものにならないほど進化しており、

一概には判断できないのも事実で、少々乱暴な答えかもしれませんが……。

61年。

これが一つの答えなのではないかと私は思っています。

取材協力:ヴィンテージマンション協会