猫とハッピーに暮らす5つのルール「猫の性質を理解しよう」編

ペットを飼っている家庭が増えつつある近年、ペットも大事な家族です。
だからこそ、家づくりに知っておきたい、猫と一緒に暮らすために私たち家族ができる10のことをご紹介します。
前編は、猫との暮らしの中で大切な「猫の性質を理解しよう」編として、彼らの気持ちに寄り添った家づくりを考えます。

今回は、猫のキモチが分かる建築家であり、ペット共生住宅の専門家として海外でも知られている廣瀬慶二さんにお話をお聞きしました。

猫が機嫌よく過ごしてくれれば、それは人間にとっても至福の空間なのです。

 

住まいの設計20183・4号 猫と一緒にくらすため私たちができる10のこと

~その1~ 猫の性質を理解しよう

猫は犬と違い、後ろ足で蹴って高い場所に跳び乗るなど、立体的に生活できる筋肉を持った生き物です。

猫と一緒に暮らす上で、この身体的性質を家の中で存分に発揮させてあげるためには、きっかけとなる刺激が必要です。

扶桑社住まいの設計 猫と一緒に暮らすため 私たちができる10のこと

「あれ何だろう?」と興味を引くものがあると、「行動」(高いところに上るなど)に移します。

それによって「好ましい結果」(面白いものが見えるなど)が生じると、猫はこれを繰り返します。

例えば、窓際のキャットタワーに上って見える景色が変わると、そのキャットタワーはよく使ってくれます。ところが、キャットタワーが家の隅にあって、上っても面白い結果が伴わないと、使わなくなってしまうのです。

この性質をうまく利用することが、猫の家をつくる際の“コツ”です。

 

~その2~ 猫が健康に暮らせる家とは?

猫は立体的に生活できる筋肉を持っているのに、室内飼いだからといって、それをずっと使わないで過ごすような生活を強いることは、当然のことながら身体的にも精神的にもよろしくないもの。

「猫はいつも寝ているから、それほど運動をしなくてもいいのでは?」と思うかもしれませんが、ただでさえ少ない運動の時間をそがれてしまうとことは、彼らの健康にとっては大問題。

猫がうれしくなる部屋づくり、家づくり

肥満のリスクも高まります。猫は避妊や去勢をして、一生を家の中で暮らす完全室内飼育が今や常識となっていますが、だからといって外で暮らしていたときのような運動の機会を奪ってはいけません。

また、緩やかな道もつくっておくなど、猫が高齢になっても無理なく動けるような配慮も大切です。

 

~その3~ 猫が住む家は、猫の町である

完全室内飼育の猫にとっては、世間のすべてが家の中にあり、家の内部空間がそのまま自分が暮らす町並みです。

町には道路や交差点があり、広場がある。目印になる建物もあり、町の境界線もあります。
猫が快適に過ごせる家をつくることは、まさに都市計画なのです。

扶桑社住まいの設計 猫と一緒に暮らすため 私たちができる10のこと

大事なのは寸法と規則性で、猫にとっても規則にのっとっていない町並みは気持ちが悪いものなのです。

ステップを上っていったら突然途切れてしまったり、急に道幅が変わってしまったりしたら、途方に暮れてしまいます。

だからこそ、寸法にも規則性にも考慮して、きちんと設計しなくてはいけません。
正しい町並みが構成されると、道路や広場は頻繁に使われるようになり、町は正しく機能して活性化します。

住まいの設計2018年3、4月号 猫と暮らす、犬と暮らす家

 

~その4~ 連続的に多層空間を構成する

猫が本来持っている身体的機能を生かして楽しく暮らせる家にするためには、最初の一歩が肝心。

例えば、歩き出してみたくなるような何かがあったり、上ってみたくなるような形をしていたり。

最初の一歩を何回も繰り返すことで猫の動きはだんだんとスムーズになっていき、それが連続することで家の中を動き回るようになるのです。

だから、次の一歩を踏み出したくなるような仕掛けも欠かせません。
まっすぐかと思ったら方向転換したり、行き止まりかと思ったら上や下に行ける抜け道があるなど、次の行動にスムーズに展開する仕掛けを存分に用意しましょう。

 

~その5~ 猫が退屈しない空間をつくる大切さ

猫が立体的に動ける仕掛けをつくったとしても、それを気に入るかどうかは猫次第。

大切なのは、過剰に供給することです。

猫はその中から気に入ったものを選んでくれます。例えば、窓は多ければ多いほどいいのです。

窓の外の風景は、一見いつもと変わらないようでも、太陽が動いたり影ができたり、虫や鳥が飛んできたりと、猫にとっては変化に富む世界が広がっています。

猫の目は近くにしか焦点を合わせることができず、はっきり見えているのは5〜7mくらいの範囲。

人間がテレビを見るのとほぼ同じです。窓がたくさんあれば、どこかで面白い番組をやっている。なおかつ飼い主が遊んであげれば、より面白くなります。

とにかく猫を退屈させないこと。人間は猫に仕える身なのです。

 


CASE STUDY

扶桑社住まいの設計 猫と一緒に暮らすため 私たちができる10のこと

キャットウォークは道路であり、のんびりくつろいだり下を眺めて楽しんだりする場所にもなる

扶桑社住まいの設計 猫と一緒に暮らすため 私たちができる10のこと

窓際の階段 を上ってテーブル上部のキャットウォークへアクセス。行き止まりがなく、連続していることが大切

扶桑社住まいの設計 猫と一緒に暮らすため 私たちができる10のこと

麻縄をぐるぐる巻き付けた爪とぎ柱が並ぶ。しっかり固定され ているから、どんなに激しく爪をといでも大丈夫


(つづく)

(山川修一(扶桑社)=撮影 ファウナプラス・デザイン=画像提供)

 

pfofile


廣瀬慶二
1969年兵庫県生まれ。神戸大学大学院自然科学研究科博士前期課程修了。
設計事務所ファウナプラス・デザイン代表。一級建築士、一級愛玩動物飼養管理士。

ペット共生住宅の専門家として海外でも知られており、『へぐりさんちは猫の家』(幻冬舎)など著書多数。

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住まいの設計2018年3・4月号

こちらの記事は、住まいの設計2018年3・4月号にも掲載中!
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