猫とハッピーに暮らす5つのルール 「猫がのびのび暮らせる環境」編

猫とハッピーに暮らす5つのルールでは、家づくりで猫と一緒に暮らすために私たち家族ができることを紹介しています。

前編は、「猫の性質を理解しよう」編として、彼らの気持ちに寄り添った家づくりを考えました。
後編は、「猫がのびのび暮らせる環境」についてご紹介します。

今回も猫のキモチが分かる建築家であり、ペット共生住宅の専門家として海外でも知られている廣瀬慶二さんにお話をお聞きしました。

~その6~ 猫が喜ぶキャットウォーク・猫ステップって?

猫が喜んで使ってくれるキャットウォークなどの装置をつくるには、町のように広い場所や細い路地、曲がり角などがあり、次々と場面が展開していくような工夫が必要です。

よく見かけるのが、始まりと終わりが短すぎるキャットウォーク。

行って戻って終わりで何の展開もないと、猫はすぐに飽きて使ってくれなくなります。

もちろんサイズや規則性は重要で、特にステップは段差を統一しましょう。多頭飼いの場合は、キャットウォーク上ですれ違えるだけの幅も必要です。

猫がうれしくなる部屋づくり、家づくり
できれば回遊性を持たせ、タテにもヨコにも自在に動けるようにしましょう。掃除を気にする人がいますが、脚立があれば柄のついたふわふわのダスターなどで簡単にホコリを取り除けるので、ご心配なく。

 


CASE STUDY

猫がうれしくなる部屋づくり、家づくり

上部に設置された木製ハンモックは、リラクゼーションスペース。猫たちがくつろいでいる姿を下から眺めるのも楽しい

猫がうれしくなる部屋づくり、家づくり

キャットウォークとタワーをつなげて回遊性を確保。キャットタワー下部は爪とぎ柱を兼ねている

猫がうれしくなる部屋づくり、家づくり

猫ステップからキャットウォークへ、さらにその上のハンモッ クへと、立体的につながる多層空間


 

~その7~ 爪とぎとはテリトリーの境界線に設置すると効果的

猫は、マーキングのために爪をとぎます。

家の中でも、爪をとぐことでテリトリーを主張しているのです。
そのため、テリトリーの境界線に爪とぎ器を設置すると効果的です。

例えば、壁の出っ張っているところや出入り口。その近くに好みの爪とぎ器を設置して誘導することで、壁や家具などが傷つくのを防ぐことができます。

柱に麻縄をぐるぐる巻き付けた「爪とぎ柱」もおススメです。「おそらくこのあたりで爪をとぐだろう」と予想される場所、リノベーションの場合ならば、今まで爪をとがれてボロボロになっていた場所に、キッチンパネルを貼るのも有効。

猫がうれしくなる部屋づくり、家づくり

表面がつるつるのキッチンパネルは爪が引っ掛からないので、猫にとっては面白みがなく、好ましい結果が生まれないのでその結果、爪をとがなくなります。

 

~その8~ インテリア性も高いおススメアイテムは木製ハンモックや”猫穴”

猫に仕える身である人間としては、猫たちが安全で楽しく、快適に過ごせることが大前提ですが、同時にインテリアとして成り立つデザイン性にも配慮したいところ。

例えば、ハンモック。薄い板をすのこ状に並べてつくった木製ハンモックは、猫が寝ると少ししなり、ゆらゆらして大人気の昼寝スペースに。ナチュラルな素材を使用すれば、インテリアに馴染みやすくなります。

ドアや壁などに設ける”猫穴”もおススメアイテム。20㎝角が猫にとって刺激になるちょうどいいサイズで、通らずにはいられないようです。

猫がうれしくなる部屋づくり、家づくり
穴からちょこっと顔をのぞかせる猫のキュートな姿は、最高のインテリアになります。猫ステップをカラフルにするなど、猫用の仕掛けをアクセントとして楽しむのもおススメです。

 

住まいの設計2018年3、4月号 猫と暮らす、犬と暮らす家

 

~その9~ 食事とトイレはどうすればいい?

猫のトイレは臭いの問題があるので、基本的には食べる場所と離して設置します。
上下に分けて配置する場合もありますが、その際は必ずトイレの近くに換気扇を付けること。

猫ダイニングが腰高くらいの位置なら、お皿を出したり下げたりするときに腰を曲げなくてすむから、人間もラク。

人間用トイレの中に猫トイレを設置する場合は、猫と鉢合わせしてしまうことがあるので、来客時には注意が必要。
また、洗面所はこぼれた洗剤などを猫が間違ってなめてしまうことも考えられるため、あまりおススメできません。

猫のトイレは、汚れたらすぐに気がつき、健康状態もチェックできるように、通り道などにくようにしましょう。また、猫は新鮮な水が好きなので、最近は猫用の水飲み場をつくる人も増えています。

 


CASE STUDY

猫がうれしくなる部屋づくり、家づくり

猫専用の水飲み場。 猫は蛇口からしたたる水が大好き

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トイレのすぐ近くに換気扇を設置し、臭いをすみやかに排出する

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食事スペースとトイレを上下に分けた例。ステップをつけてあげればラクに行き来ができ、コンパクトなスペースを有効活用できる。上部の吊り戸棚にはキャットフードのストックなどを収納できる


 

~その10~ いちばん気をつけるべきは”逃亡防止”

いちばん気をつけなくてはならないのは、”逃亡防止”です。
いったん外に出てしまうと、事故や病気の感染など危険があります。

玄関は、手前の廊下に扉を二重に設置し、猫が玄関土間に入れないようにすれば、人間は猫の飛び出しを気にせずに玄関ドアを開けられます。内側の扉がガラス入りにすれば、猫が出迎えてくれる玄関に。

網戸は破れないように強化し、ストッパーを設置。災害時の対策としては、猫がパニックになったときに逃げ込む場所にキャリーを置いておきましょう。

猫はおびえると腰が引けるので、2階ではなく1階のいちばん奥などが逃げ場所となります。また、キャリー=病院=嫌なこと、と認識していることが多いので、中におやつを入れておくなど、そのイメージを払拭する配慮も必要です。

 

猫の家のまとめ
家猫のための家づくりでは、住宅地などでは近隣への迷惑も考慮して、完全室内飼育を前提に考える必要があります。
家猫にとって、家は町そのもの。自由に行き来できる道や交差点や広場をたくさんつくり、のびのびと過ごせる環境を整えましょう。
適度な刺激も大事。猫が機嫌よく過ごせる家は、人間にとっても猫のいきいきとした姿を存分に楽しめる、最高の家になるのです。

(おわり)

(山川修一(扶桑社)=撮影 ファウナプラス・デザイン=画像提供)

 

【INDEX】

猫とハッピーに暮らす5つのルール 「猫の性質を理解しよう」編

猫とハッピーに暮らす5つのルール 「猫がのびのび暮らせる環境」編 

 

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廣瀬慶二
1969年兵庫県生まれ。神戸大学大学院自然科学研究科博士前期課程修了。
設計事務所ファウナプラス・デザイン代表。一級建築士、一級愛玩動物飼養管理士。ペット共生住宅の専門家として海外でも知られており、『へぐりさんちは猫の家』(幻冬舎)など著書多数。

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住まいの設計2018年3・4月号

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【巻頭特集】猫と暮らす、犬と暮らす ~幸せな家のつくりかた~

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