犬と上手に暮らすコツ〜犬が機嫌よく暮らせる家 5つのルール 「犬のキモチを理解しよう」編

ペットを飼っている家庭が増えつつある近年。ペットも大事な家族です。

猫に比べれば犬は野性味が薄れているけれど、だからこそ、その社会性や飼い主との関係性を理解して、家づくりに生かしてあげたいもの。
前編は、犬と一緒に暮らす上で、犬が機嫌よく暮らせる家5つのルール「犬のキモチを理解しよう」編として、犬のキモチが分かる建築家でありペットを家族の一員と考え、「家族」全員を幸せにする家づくりに取り組む前田敦さんにお聞きしました。

 

犬と一緒に暮らすため 私たちができる10のこと

~その1~ 犬の性質を理解しよう

犬は人間が最初に家畜化した動物とされていて、その歴史はなんと40万年にものぼります。

旧石器時代の遺跡から犬の祖先であるオオカミの骨が発掘されているし、後の時代の人間の居住跡から犬の骨が見つかったり、ともに埋葬されている墓所があることが確認されています。

 

犬と一緒に暮らすため 私たちができる10のこと

オオカミを祖先に持つ犬は、群れで行動する社会性の発達した動物なのです。

それは今も変わりません。

だから、犬とともに暮らす場合、人はリーダーシップを発揮しないといけません。

群れで生きることを考えると、犬が屋内で人と暮らすことは理にかなっているといえますが、家はあくまで人の都合を優先した場。犬の身体性や習性を理解したうえで、プランニングに生かしてあげましょう。

 

~その2~ 犬が心穏やかに暮らせる空間とは?

犬にとっていちばん大切なのは、ともに暮らす人、つまり飼い主です。

犬は日中寝ていることが多いですが、起きている時間は飼い主の行動を目で追っているか、あとをついて一緒にいるかどちらかです。

だから、人がいちばん長い時間を過ごす、リビングやダイニングにきちんと犬の居場所をつくることが大切。

犬と一緒に暮らすため 私たちができる10のこと

プランニングにスキップフロアを想定している場合ならば、その段差を利用すれば、彼らが安心して過ごせる格好の居場所ができます。

「それならソファを置けば、一緒にくつろげるのではないか」と思われるかもしれませんが、人がリーダーシップを発揮できていない場合や、犬が自分よりも下の順位だと思っている家族がいる場合、犬がソファを独占したり、座ろうとした人を噛むなどの問題行動に結びつくことがあるので注意が必要です。

 

~その3~ ペット用の扉はオススメ!

住まい全域を犬が出入りできるようにしておくこともひとつの考え方。しかしその場合、間仕切りや扉の出入りが問題になってきます。

家族のプライバシーも問題になるし、光熱費を考えても現実的とはいえません。

そうはいっても、いつでもどこでも一緒にいたい、という飼い主のためにおすすめのソリューションがペット用の扉です。

透明なソフト素材でできたフラップとマグネットの組み合わせで、壁や扉に取り付けることができます。

また、動物が苦手な来客があることを考えると、犬をシャットアウトできる空間も設けておいたほうがよいでしょう。

多頭飼いの場合には、病気にかかったり老いて元気がなくなった犬がゆっくり休むための場所としても機能する空間になります。

 


CASE STUDY

犬と一緒に暮らすため 私たちができる10のこと 犬用出入り口

スキップフロアの床下部分に犬の居場所を設けた例。囲まれた場所のほう が犬を落ち着かせる効果もある

犬と一緒に暮らすため 私たちができる10のこと 犬用出入り口 

扉や壁に取り付けられる犬用の出入り口。小型犬用から大型犬用まで大きさも各種揃う

扉や壁に取り付けられる、犬用の出入り口。小型犬用から大型 犬用まで大きさも各種揃う

階段の代わりにスロープをプラン ニングし、犬が滑りにくいカーペットフロアとしている


 

~その4~ 犬にとって危険なのは「階段」と「キッチン」

犬にとって危険なのは、階段とキッチンです。

階段については後述しますのでここではキッチンについて。

まず、キッチンには犬が食べてはいけない食材があふれています。

タマネギ、チョコレート、ブドウはその代表格で、個体差にもよりますが命に関わることが多い危険な食材です。とはいえ、いうまでもなく人が普通に口にするものなので、ついつい不注意が起こりがち。

できるだけ犬が入れないキッチンをプランニングしましょう。また、いたずらで電気コードをかじって感電する事故も多いもの。コードが集中するテレビやオーディオはキャビネットに収めて、見た目にもスッキリさせましょう。

 

住まいの設計2018年3、4月号 猫と暮らす、犬と暮らす家

 

~その5~ フローリング?カーペット?床選びは大切なポイント

飼い主にくっついて歩き回ったり、はしゃいでいるときには家じゅうを走り回ったり。

そんな犬の足と接する床材選びはとても大切なポイントです。

フローリング材は掃除も楽だし、見た目もシンプルで一般的な床材なのですが、犬にとっては厳しい一面も。犬の爪や肉球ではつるつる滑ってしまうのです。

このため関節への負担が大きく、長じて障害を引き起こすことも。

フローリングの場合は「愛犬の床」など、抵抗を増し、床のキズを防ぐフロアコーティングがあるのでこれを用いるのもひとつの手です。

犬と一緒に暮らすため 私たちができる10のこと

そのほか、カーペットタイルは、滑り防止になるのはもちろん、粗相した場合にもそこだけはがして洗うことができるなど、耐水性、衛生面、メンテナンスの点でもおススメです。

(つづく)

(川俣満博、杉田賢治、平井広行、山川修一(扶桑社)=撮影)


【NDEX】

犬が機嫌よく暮らせる家 5つのルール 「犬のキモチを理解しよう」編

犬が機嫌よく暮らせる家 5つのルール 「トラブルやストレスをなくそう」編

 

pfofile

 


前田敦
1958年山口県生まれ。日本大学大学院建築工学専攻博士前期課程修了。
前田敦計画工房代表。ペットを家族の一員と考え、「家族」全員を幸せにする家づくりに取り組む。

犬と一緒に暮らすため 私たちができる10のこと

 

フリーペーパーなどでもペットと暮らす家づくり指南を行っている

 


 

住まいの設計2018年3・4月号

 

こちらの記事は、住まいの設計2018年3・4月号にも掲載中!

【巻頭特集】猫と暮らす、犬と暮らす ~幸せな家のつくりかた~

ペットと人間が一緒に快適に暮らす家づくりから、家族みんなが楽しく暮らせる工夫がいっぱいのリノベーションまで、知りたい実例が満載です!