犬と上手に暮らすコツ〜犬が機嫌よく暮らせる家 5つのルール 「トラブルやストレスをなくそう」編

犬と一緒の暮らし。
犬が機嫌よく暮らせる家5つのルールでは、家づくりで犬と一緒に暮らすために私たち家族ができることを紹介しています。

前回は、「犬のキモチを理解しよう」編として、彼らの気持ちや性格を理解した家づくりのポイントについて考えました。
後編は、犬が安心して暮らすために理解したい「トラブルやストレスをなくそう」についてご紹介します。

今回も犬のキモチが分かる建築家でありペットを家族の一員と考え、「家族」全員を幸せにする家づくりに取り組む前田敦さんにお話をお聞きしました。

~その6~ 犬が無理なく昇降できる階段のつくり方

当たり前の話ですが、家の階段は人の上り下りと省スペースだけをテーマに考えられています。

4本足の犬にとって、この階段がやっかいなもの。特に下りは一歩踏み外せば彼らは頭から転落してしまいます。

賢い犬なら一度階段から落ちて怖い思いをすると、二度と階段の昇降ができなくなることだってあります。

ダックスフントなど胴が長く脚が短い犬種だとさらに深刻で、人と同じ階段を上り下りすることでヘルニアを起こすことも多いのです。

犬が無理なく使えるように、階段の踏み板を滑りにくい素材にして奥行きを深くし、さらに傾斜を緩めるといいでしょう。

また、階段の代わりにスロープを使って階層をつなぐ方法もあります。これなら犬にも人にもやさしいのではないでしょうか。


CASE STUDY

犬と一緒に暮らすため 私たちができる10のこと

背骨に注目。ダックスフントの場合、背骨が伸びるくらい緩い傾斜でないと階段を下りられない

犬と一緒に暮らすため 私たちができる10のこと

前田さんが設計したスロープの家の模型。犬にとっての鬼門、階段を廃してその代わりに緩やかなスロープで階層をつなぐ。愛犬家から好評でシリーズ化している

 

~その7~ ベランダでの飼育はトラブルのもと

犬にまつわるトラブルは、鳴き声、臭い、抜け毛がもとになることが多くあります。

犬をベランダで飼おうとすると、これらの問題が一気に顕在化してしまうので、できるだけやめたほうがいいでしょう。

犬にとって敷地に近づくものは警戒の対象なので、ベランダから見える部外者すべてに吠えることにななります。

季節の変わり目には抜け毛が増え近所に飛んで、迷惑をかけることに。

犬と一緒に暮らすため 私たちができる10のこと

また、犬にとってもベランダは決して過ごしやすい環境とは言い難いのです。

直射日光が避けられないため、真夏はいうまでもなく、春・秋にも気温が上がりすぎて、熱中症を起こす危険が増え、壁に囲まれているために、荒天時には風が舞い、犬小屋があっても中まで雨が吹き込んで体を濡らしてしまいます。

犬を飼うときには、屋内で一生一緒に暮らす覚悟を持つべきでしょう。

 

住まいの設計2018年3、4月号 猫と暮らす、犬と暮らす家

 

~その8~ 食べるところ、排泄するところの配慮

食事と排泄と睡眠は犬が無防備な状態になるときです。

人との共生の歴史が長く、社会性があるとはいっても、そこは動物です。

犬と一緒に暮らすため 私たちができる10のこと

不安な状態で食事や排泄をしなくてすむよう、彼らに居心地のいい空間をつくってあげましょう。

ポイントは天井の高さ。あくまで経験則ですが、彼らは体高の1.5倍くらいを心地よい高さと感じるようで、新築した家でもそうした空間があると、何も教えなくてもそこにすっと入ることが多いです。

もちろん食事とトイレの場所は別々に。

低くつくったトイレの上にはペットシーツのストックなどを置いておけばいいし、食事場の上にはフードを保管しておけば効率的です。

また、トイレは臭いがこもらないように、サイズが小さくても良いので換気扇を付けておきましょう。


CASE STUDY

犬と一緒に暮らすため 私たちができる10のこと

犬にとってちょうどいい大きさの「専用室」


 

~その9~ 人も使いやすいグルーミングスペースを

屋内で犬を飼う場合、人のように犬も入浴の必要があります。

外部水栓でもお湯が出るようにすれば、屋外でも洗えるので準備しておきましょう。

また、洗うのと同じくらい労力が必要なのが洗ったあとで乾かすこと。

犬の多くはアンダーコートといって、皮膚の近くに細い毛が密集して生えていて、ドライヤーがかけにくく、乾かすのに時間がかかるのです。

このときに中腰などの無理な体勢を取らなくてすむように、例えば小型犬なら専用の洗面台を設けるのもひとつのアイデアです。

シンクを深くしておけば体を洗って、そのまま乾かせます。

大型犬の場合は、人用の浴槽にすのこを渡して、その上を使うのもいいでしょう。毛が飛び散るのも防げるし、浴室内に収めておけるというメリットもあります。

 


CASE STUDY

犬と一緒に暮らすため 私たちができる10のこと

エントランス脇に水栓を設けて、散歩から帰ったときに足を洗いやすくした例

犬と一緒に暮らすため 私たちができる10のこと

ストレス対策として、無理なく外を見られる窓を設けておくのもひとつの手だ

犬と一緒に暮らすため 私たちができる10のこと

2台並んだ洗面台。1台をペット専用にしてある

犬と一緒に暮らすため 私たちができる10のこと

トイプードルなどの小型犬なら、洗面台で十分にグルーミングができる。人も腰を曲げなくてすむので、長時間の作業もラクチン


 

~その10~ 留守番をさせるときの配慮

 

犬と一緒に暮らすため 私たちができる10のこと

そのほか、人のいないときに問題行動を起こす犬は多いもの。

代表的なのは無駄吠えと破壊行動です。無駄吠えはしつけによって防ぐことが基本ですが、外部の音をシャットアウトすることも有効です。

中庭を中心に開口部を設ければ、外へも音が漏れにくくなります。

破壊行動については、壊されたくないものは、犬が届かないところに置くこと。

ジャンプ力のある犬種の場合には、その高さも考慮します。ものによっては犬を傷つけることもあるので、犬の届く範囲には何も置かないことが肝心です。

また、犬に留守番させる場合、熱中症に注意。

留守中もエアコンを稼働させることが多くなるので、断熱性能を上げて光熱費を下げましょう。

エネルギーロスの多い開口部はLow’Eガラスなどを入れて断熱・遮熱性を高めておきましょう。

 

犬の家のまとめ
私はペット共生住宅を設計するときに、ペットを家族だと考えます。彼らは4本足で、われわれよりも身長が低いけれど、そういう個性を持った家族です。家族に足が不自由な人がいれば、バリアフリーにしたり、手すりをつけたり工夫をします。
それと同じプロセスをペットにも考えればいいのではないでしょうか。ただ間違ってはいけないのが、ペットを優先するあまり人の快適性を損なってはいけないということです。

(おわり)

(川俣満博、杉田賢治、平井広行、山川修一(扶桑社)=撮影)


【NDEX】

犬が機嫌よく暮らせる家 5つのルール 「犬のキモチを理解しよう」編

犬が機嫌よく暮らせる家 5つのルール 「トラブルやストレスをなくそう」編

 

pfofile


前田敦
1958 年山口県生まれ。日本大学大学院建築工学専攻博士前期課程修了。
前田敦計画工房代表。ペットを家族の一員と考え、「家族」全員を幸せにする家づくりに取り組む。

犬と一緒に暮らすため 私たちができる10のこと

 

フリーペーパーなどでもペットと暮らす家づくり指南を行っている

 


 

住まいの設計2018年3・4月号

こちらの記事は、住まいの設計2018年3・4月号にも掲載中!

【巻頭特集】猫と暮らす、犬と暮らす ~幸せな家のつくりかた~

ペットと人間が一緒に快適に暮らす家づくりから、家族みんなが楽しく暮らせる工夫がいっぱいのリノベーションまで、知りたい実例が満載です!