連載
住宅ライターの家づくり

建築家との家づくりを選んだ理由【住宅ライターの家づくり】

ライターときどきカメラマンの永井理恵子です。夫、私、小5の息子の3人家族です。
この連載では、住宅ライターでもある私がなぜ建築家との家づくりを選んだのか、その建築家をどうやって選んだのか、またその後の家づくりのプロセスについて、これからいろいろとお話ししていきたいと思います。

第1話は、一戸建てを新築することになったきっかけと、建築家との家づくりを選んだ理由についてです。

 

 

家賃の総支払金額を計算したのが新築のきっかけ

Graphs / PIXTA(ピクスタ)

15年暮らした東京から、生まれ育った静岡県御殿場市にUターンして9年、住宅雑誌での仕事をスタートして3年が過ぎた頃。

ふと思い立ち、これまで支払ってきた家賃の総額を計算して驚きました!

一人暮らしの頃を含めると、およそ1,350万円。敷金礼金を合わせると約1,465万円。

学生時代の4年間の家賃も合わせると、2,000万円に手が届きそうな金額です。

どうしてこんな計算をしたかというと、ひとり息子に個室を用意できる家への引越しを考えたからです。

もとくん / PIXTA(ピクスタ)

当時暮らしていたのは、家賃5万5,000円、築40年以上という一戸建て。

キッチンに4畳半の居間、6畳の和室が2つという間取りでした。

新居の理想の間取りは3LDK。この界隈の家賃の相場は9〜10万円でした。

すると夫が「この先ずっと家賃を払い続けるのなら、家を建てても同じじゃない?」と言うので、これまで支払ってきた家賃の総額を計算してみたのです。

こうして、人生の予定に全くなかった、一戸建てを新築することになったのです。

G-item / PIXTA(ピクスタ)

といっても、私たちは、家を建てる土地を持っていません。

まずは土地探しからスタートです。

探し始めて1か月くらいで、するんといい土地が見つかりました。

地元の工務店の建築条件付きでしたが、その工務店は無垢材を使った家づくりにこだわる会社。

木の家を建てたい私たちにとっては、いい巡り合わせだったのです。

「建築家に設計を依頼することは可能ですか?」と尋ねると「もちろん。今まで何度も経験があるから大丈夫!」という心強い返事。

こうして私たちは、その土地に家を建てることを決めました。同時に、建築家に我が家の設計を依頼することも決めたのです。

 

クライマーでもある建築家だから依頼した

私たちは、夫、私、小5の息子の3人家族。

家を建てると決めた時に私たちが話したことは、自分たちの性格に合った家に暮らしたいということでした。

1つだけ、絶対に叶えたかったのは、家の中にボルダリングウォールを設置することでした。

5歳から始めたクライミングに夢中になっている息子。

毎日少しでも練習できるように、ちょっぴり本格的なボルダリングウォールを設置したいと考えたのです。

Yongyut / PIXTA(ピクスタ)

私たちが依頼した建築家は、海外の4,000m級の山を登るほどの登山好き。

天然の岩場でのクライミングに本格的にトライしている方です。

ボルダリングウォールの設置について、クライマーでもある建築家に相談できるというのがとても心強かったので、依頼することを決めました。

もちろん、彼がこれまでに設計した家の美しさ、発想のユニークさに惹かれたのも大きな理由です。

ボルダリングウォールがあるけれど落ち着ける、タフで美しい家。

両立しないキーワードを形にできるのは、建築家以外にはいないと直感的に考え、依頼しました。

思い返せば、家族とも、建築家とも、「こういう間取りがいい」みたいな話を一度もしたことがありません。

nashie / PIXTA(ピクスタ)

最初に伝えたのは、無垢材で建てる美しい家を希望していること。

さらに、ボルダリングウォールがあって、片付けと掃除がしやすくて、軒下に洗濯物が干せればそれでいいです、と伝えました。

そこから建築家からさまざまな質問を受けました。

趣味、好きなこと、今の暮らしで困っていること、家でやりたいこと。

1つ1つに答えながら、家族と自分の暮らしを見つめるということはこういうことか、と思ったことを覚えています。

 

建築家とは…翻訳者のような存在!?

最初の打ち合わせは、2時間程度。

しばらくして、最初のプランができあがりました。

「ジャーン」と建築家が効果音をつけながら開けてくれた建築家手製のダンボールの箱の中から出てきたのは、白く小さな我が家の模型でした。

「わあ」

予想を超える形の家に、ちょっとびっくり。

でも、今まで見たことない家に、ものすごくワクワクしました。

この時のプランを元に予算の都合で4坪ほど減築してもらいましたが、大きな変更はありませんでした。

そして、この時、特に問題がない限りはすべてを建築家と工務店に委ねることに決めました。

「素人が口を出すならプロに委ねた方が、きっと正しい判断をしてくれる」

「そのほうがきっと面白いことになるような気がする!」

というのがその理由でした。建築家は、私たちの希望を適切な形にする、ある意味翻訳者のような存在であると、この時気付きました。

(つづく)