昭和の団地を大胆リノベーション。機能美キッチンが家の主役!【リライフプラス】

団地のリノベーションがここ数年でジワジワと注目されはじめた”団地リノベ”。
団地は広大で緑豊かな敷地にゆったりと建ち並び、リノベーションにぴったりの物件なんです。
今回は昭和43年築の京都府長岡京市にある団地を、古いイメージを一新して、見事に生まれ変わった住空間をご紹介します。

ベランダ

 

第一希望は1階の庭付き物件。2年待ってようやく出会えた

ダイニング

「昔からあるものを住み継いでいきたい」という思いから、新築物件の購入は考えていなかったというIさん夫妻。

京都府長岡京市にお住まいです。

選んだ住まいは夫の仕事場と妻の実家とのちょうど中間の便利な場所に建つ古い団地でした。

昭和43年築、専有面積は60.20平米。物件価格は1,300万円、工事費は800万円(税・設計料込み)です。

「地に足の着いた生活がしたかった」という夫妻の強い希望で、1階の庭付き住戸を2年待ってようやく紹介してもらったそうです。

リノベーションを依頼したのは団地リノベに関する本で知ったという吉永健一さん。

団地に関する知識や経験が豊富で、数多くの団地リノベを手掛けていることも、依頼の決め手になったといいます。

洋室

南側の窓からきれいな緑が見られるのは、1階ならではの特権です。

「庭づくりはこれからですが、実用性のあるキッチンガーデンにしたいと思っています」と妻。

収納スペース

フローリングは全室共通でオスモカラーで仕上げたナラの無垢フローリングです。

白色の壁とのコントラストは引き締まった印象を与えてくれます。

壁は、調湿効果がある天然素材を原料としたチャフウォールを採用しています。

 

カリスマ主婦・石黒智子さんの厨房を再現した機能美キッチン

キッチン

夫婦揃って「この家の顔」と明言するのは、多くのファンを持つカリスマ主婦・石黒智子さんの自宅厨房を再現したステンレスキッチンです。

当初は地元の業者に相談しましたがなかなか理想に近づかず、最終的には石黒さんのキッチンを製作した横浜市の荒井板金製作所に直接オーダーしました。

大きなレンジフードも石黒智子さんのご自宅と同じものを造作。お手入れは年に2回で済み、簡単なんだそうです。

合理的な石黒メソッドのつまったキッチンの使い心地は「使うほどに、なるほど! とうれしい驚きがあります」と妻。

キッチン

スタイリッシュに並んだ小ぶりな掛け時計、温度計、湿度計、気圧計は石黒さんも愛用しているドイツ・バリゴ社製。

シンクの背面に設置したラックには、鍋や蒸し器など調理器具を収納しています。

石黒智子さんのキッチンと同様に、カウンターの下にはステンレスの丈夫なワゴンを備えて調味料などをスタンバイさせています。

出し入れできるので、掃除も楽そうですね。

キッチン 収納棚

真っ白な食器棚には必要な食器だけを収納しているので、見た目にもすっきり清潔感が漂います。

真ん中の棚の上下に浅い棚を作ることで、小さな食器も取り出しやすくなっています。

キッチン ダイニング

ダイニングテーブルも、石黒智子さんのオリジナルを手本に造作しました。

脚にはキャスターが付いているので移動も楽にできるから、お客様が来た時など隣の洋室にそのまま運び出して大人数で使うこともあるんだそうです。

コンロの背面にはバーを4本設置して、調理器具などを吊せる一目瞭然の見せる収納としました。

 

部屋の仕切りをなくして、開放感のある間取りに

リビング 親子

できればワンフロアにしたかったというIさん夫妻。

いちばん広い12畳の洋室はおもに寝室として使っています。

多目的に使えるよう、テレビも大きな家具も置いていません。

小さい子どもがいるとは思えないほどすっきりとした住まいは、今後のライフスタイルの変化に合わせて柔軟に役割を変えられるように、あえて部屋の使い道は決めていません。

リビング

区切りのないワンフロアにしたかったというリクエストもあって、南側の洋室とダイニングを仕切る引き戸は、押し入れの奥行きに合わせてしつらえたスペースにスッキリとしまえる仕掛けになっています。

引戸あり

引戸なし

ご覧の通りたった数分で、広々とした空間に早変わり!

来客時はもちろんのこと、気候がよい時期は開け放すと空気の流れを感じられる気持ちのよい大空間になります。

押入れ

寝室にある収納力抜群の押し入れはリユースすることにしました。

扉を新しくして雰囲気を一新。寝具や衣類などを収めています。

玄関

エントランスからダイニングまでつながる廊下にも仕切りは作りませんでした。

なので、エントランス→廊下→ダイニング・フリースペース→キッチン→バスルーム→トイレ→へとぐるりと部屋全体を回遊できるような動線になっています。

サニタリー

水回りはオープンなつくりにしました。

洗面台の横にカーテンを引いてバスルームの脱衣所を緩く仕切れるようにしています。

トイレ

レトロなデザインのトイレ扉と便器は既存をリユース。

トイレの小窓の向こうはバスルームとつながっています。

帰宅後すぐに手が洗えるようにエントランスから入ってすぐの廊下に洗面台を設置しました。

壁の上には隙間を開けて、圧迫感を感じさせない工夫も。

ちなみに壁の向こうは、こだわりのキッチンスペースです。

「昭和な団地」というイメージを覆す、ミニマルな空間が出来上がりました。

もっと詳しく知りたい方は、『リライフプラスvol.25』をぜひ参考にしてみてくださいね。

 

設計/吉永建築デザインスタジオ
撮影/宮野正喜