連載

住まいの設計編集部:樋口 淳

兼業農家へ転身!地方移住で新たな人生を切り開く

ミュージシャンとして活動してきた紘一さんは、家族の将来を考えて安定的な仕事に転職。

併せて賃貸アパートが手狭になったこともあって、新たに住まいについても考え始めます。

思い描いたのは、「薪ストーブのあるログハウス」。

憧れの暮らしに向けて、飯島さん夫妻はさっそく行動を移します。

薪ストーブのあるログハウスに憧れて…

飯島さん家族は、夫婦と育ち盛りの男の子ふたりの4人家族。

紘一さんは転職と前後して、家族がこれから暮らす家やライフスタイルのことも真剣に考えるようになりました。

飯島さんの家

最初に思い描いたのは、自然豊かな場所に建つ、「薪ストーブのあるログハウス」。

飯島さんの家

都内に通えることを条件に、予算内で買える100坪以上の土地を探すうち、埼玉県鳩山町に気に入った場所を見つけます。

土地はなんと、50軒ほど見て回ったとか。

決めた土地は、神社などもあり自然に恵まれた地でありながらスーパーや病院も近く、コンビニには歩いて行けます。

飯島さんの家

バス便があることや、南側に眺望が開けている点も魅力でした。

 

探すうち、魅了された本格的な和風住宅

土地も決まり、次は家づくりです。

土地を販売してくれた工務店が建てた家を見学に行くと、ログハウスとはほど遠い本格的な和風住宅でした。

飯島さんの家

国産の無垢材や左官を用いた立派なつくりでありながら、ログハウスよりリーズナブルなのだそう。

和風の家について調べるうちにすっかり魅了され、自分たちも建てたいと考えが変わります。

どのような和風住宅になったのか、気になりますね。外観はこの通り。

どっしりとした安定感のある平屋で、瓦屋根から薪ストーブの煙突も見えます。

では家の中をご案内しましょう。

ガラスの引き戸をあしらった風格のある玄関です。

飯島さんの家

下駄箱の扉にも無垢材が使用され、隅々まで贅沢なつくり。

木に包まれたLDKは、家族みんなの癒しの空間。

飯島さんの家

うさぎの「ダイヤ」は家ができてから、新たな家族として加わりました。

子どもたちも気持ちよさそう。かなりリラックスしているようです(笑)。

飯島さんの家

本格的な和室の床の間には、紘一さんの実家の蔵から出てきた古い掛け軸を飾っています。床の間の左側には、将来的に仏壇を収める場所も確保しました。

飯島さんの家

憧れの薪ストーブのそばには、文机を置いた、紘一さんのパソコンコーナーが。

飯島さんの家

ひなたぼっこに最適な広縁は、幅が広くゆったりしているので部屋のようにくつろげます。

飯島さんの家

「軒下にはそのうち濡れ縁をつくりたいですね」と紘一さん。

キッチンは家族の顔が見える対面式に。

飯島さんの家

近所の人から新鮮な野菜をもらうことも多いといいます。

 

農業の楽しさを知り、広がる新しい世界

夫の紘一さんは都内に通勤し、妻の千春さんは農業を営んでいます。

飯島さんの家

今では千春さんは白ネギを主軸に、数種類のミントやユーカリを栽培。

イベント出店やワークショップ、加工品の開発なども行なっているといいます。

当初、広い庭を得たことで千春さんはまず家庭菜園を始めました。

それまではまったく経験がなかったのですが、10種類ほどつくってみると思いのほかうまくいって面白みを感じたといいます。

「パートで働くくらいなら自分で農業をやったら、と夫に言われ、とりあえず役所に相談に行きました」と千春さん。

飯島さんの家

そこで、畑を借りるにも就農資格が必要だと知ります。

「農業大学校を出れば資格がもらえると聞いて、ちょうど学生を募集中だった農業大学校に入学することにしました」(千春さん)。

子育てをしつつ大学校に通いながら、研修先の農家からすすめられてユーカリの栽培を始めた千春さん。

飯島さんの家

除草や施肥くらいで比較的手がかからず、契約農家なのでリスクが少ないと見込みました。

飯島さんの家

ユーカリの出荷先は、「埼玉県こども動物自然公園」です。車で10分ほどの距離にあるのも便利です。

飯島さんの家

また、庭先に借りた畑では、本場キューバでモヒートに使われるイエルバ・ブエナなど、3種類のミントを育てています。

飯島さんの家

「ときがわブルワリー」の「ゆずミントサイダー」は、千春さんのミントを使っているんですよ。

飯島さんの家

さらにチャレンジは続きます。

大学校を1年で修了すると、販路などを考えて「1本ネギ」と呼ばれる白ネギの栽培を決め、他に畑を借りました。

飯島さんの家

苗の植え付けや土寄せなどの大変な作業も、専用の農業機械を導入することでひとりでもこなすことができるそうです。

ネギづくりの作業はほとんど千春さんが行いますが、栽培計画の立案や販促活動、「ちはるふぁーむ」のホームページ作成などは紘一さんが担うなど、夫婦で分担し、協力し合っているといいます。

飯島さんの家

「起業も勉強中で、農業を軸にしたイベント企画を手掛けたいですね」と紘一さん。

「妻が農業をやれるのも地域の方のおかげ」と、町内会や氏子の集まりに積極的に参加します。

紘一さんは、地元のマルシェを舞台に、ボランティアで音楽活動も再開しました。

飯島さんの家

多用な業種の人と関わることで、活動の幅が広がっていく期待感。

住むだけではなく、農業を続けていくうえでも、地域の人々とのコミュニケーションは大切なんですね。

飯島さんの家

「地域にいるいろんな業種の方と交流が持てて、発展性があります。人付き合いは積極的にしたほうが、面白いことが起こると思います」。

 

飯島さんの家

都市部にいた頃の生活と180度変わった、飯島さん家族の暮らし。柔軟性と積極性が成功のカギとなっているようです。「人生は自分でつくるもの」。

そう実感できる機会が、ここにはたくさん転がっています。

 

ちはるふぁーむ
白ネギを主軸に、数種類のミントや動物園のコアラの餌になるユーカリを栽培。イベント出店やワークショップ、加工品の開発など多彩に活動中。
http://facebook.com/ChiharuFarm/

もっと詳しく見たい方は、ぜひ「住まいの設計2019年2月号」を参考にしてみてくださいね。

 

撮影/難波雄史(扶桑社)

住まいの設計2019年2月号

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