体験レポート&リサーチ

Sumai編集部

山口真由さんの家の履歴書「布団の中で懐中電灯を頼りに勉強したことも」

山口真由さん

東京大学法学部を卒業後、財務省の官僚、弁護士を経て、ハーバード大学のロースクールを修了した山口真由さん。研究者として、またニュース番組のコメンテーターなど幅広い分野で活躍しています。華やかな経歴を持つ山口さんは、どんな環境で子ども時代を過ごしたのでしょうか?

庭付き一軒家は子どもに。とってまさにワンダーランド!

「いちばん最初に住んでいたのは北海道の4、5階建てのエレベーターのないマンション。私が保育園児のときに現在の実家である庭つきの一軒家にお引っ越し。両親にとって初めての大きな買い物で、こだわって設計して建てた二世帯住宅です。この新居への引っ越しが私の初めての記憶だと思っているんですが、そのくらいうれしかったのを覚えています」

みんなが集まる広くて明るいリビング

友達を家に招いての誕生日会

友達を家に招いての誕生日会。前列のカチューシャをした女の子が山口さん。

リビングで1歳違いの妹さんと記念撮影

リビングで1歳違いの妹さん(左)と仲よく記念撮影。柱に背丈を刻んだクマのぬいぐるみも一緒に。

お気に入りのピンクのランドセルを背負って玄関前で撮影

玄関の前でお気に入りのピンクのランドセルを背負って笑顔でパチリ。

祖母との二世帯住宅は、1階にリビング、ダイニング、水回り。中2階に2つ部屋があって、2階には子ども部屋と和室と両親の寝室という間取り。2階の踊り場にはピアノが置いてありましたが、山口さんが練習をさぼっていると1階のリビングにいる両親にすぐばれてしまうほど、風通しのよい設計だったようです。

「新居に私と妹専用の子ども部屋が用意されていたのがすごくうれしくて!夢中になって家の柱に自分の身長を刻みましたね。ぬいぐるみの背丈とかも全部測ってました(笑)。

一軒家って子どもからするとワンダーランドみたいなもので、そこかしこが冒険の場。中2階から屋根に出られるようになっていて、普段は危ないから出してもらえないんですけど、花火大会のときには屋根の上からみんなで花火を見たりして、楽しい思い出ですね」

高校~大学時代を過ごした祖母の家にて

祖母の家の一室を実家の子ども部屋に近い雰囲気にお母さんがリフォーム

中学卒業後、東京の高校に進学した山口さんは、祖母の家で暮らすことに。畳の部屋にじゅうたんを敷き、壁紙も貼り替えて実家の子ども部屋に近い雰囲気にお母さんがリフォームしてくれました

家の中を移動しながら勉強する放浪癖があった!?

子ども部屋と同じ2階にある両親の書斎は基本的には出入り禁止となっていましたが、昼間の誰もいない時間にこっそり忍び込んで両親の本棚にある本を取り出して読んでいたりと、当時から本が大好きだった山口さん。

「文字がとにかく好きで。小学校の登下校のときもずっと本を読んでいたくらい(笑)。今でもとにかくなにかしら読んでますね」

そんな活字と本を愛してやまない山口さんには、子どもの頃から今でも一貫する山口さん流の勉強スタイルがありました。

「人がいたり音が聞こえると集中できないタイプなんです。基本的には子ども部屋で勉強していました。両親が共働きだったので、だれもいない時間はリビングで勉強して、ご飯を食べたあとは子ども部屋で勉強するという、家の中を行ったり来たりする放浪派」。中学生になった頃から自主的に勉強するようになり、「両親がもう寝る時間だから寝なさいねって見に来てくれてたんですけど、勉強を続けたくて布団をかぶって懐中電灯で照らして勉強してましたね」。

高校から東京の学校に通うことになり、祖母の家で2人暮らしが始まりました。大学卒業後は、財務省の寮で同僚の女性2人とのルームシェア生活。部屋は畳敷きで、お風呂も浴槽の横に給湯器が置かれたバランス釜で、古いタイプの寮だったそう。財務省を退官後は、都内の法律事務所に勤め始めた山口さん。法律事務所はとても激務だったため、事務所の近くに家を借りました。

「当時はとにかく忙しくて、住居がどうこうってこだわるよりも、お風呂に入って寝られればいい、という感じでした。お風呂の電球が1年くらい切れたままでも気にならなかったくらい、とにかく余裕がなかったですね」

アメリカ留学時代に半地下の部屋に住んで気づいたこと

その後、法律の勉強をするためにアメリカのハーバード大学ロースクールに1年間留学。大学のあるマサチューセッツは家賃が高かったため、知人に賃料が安めの地下物件を紹介してもらったそう。「広いおうちの地下で暖かいのはよかったんですけど、窓がとにかく小さくて、光があまり入ってこないんです。あと、バスルームに湯船がなくて、1年間シャワーだけっていうのは辛かったですね」。

それまでは、家は帰って寝られればそれでいいと思っていた山口さんですが、アメリカ生活を経験して、光とお風呂が自分にとって大事だと痛感したそうです。

アメリカで暮らした半地下の家

1年間留学した際に住んだ半地下の家の庭

大学のあるマサチューセッツ州に1年間留学した際に住んだ半地下の家の庭。緯度が高く冬はとても寒かったそう。

枕元に置かれたぬいぐるみ、誕生日カード、プレゼントの本

ベッドの枕元に置かれているのはハーバード大学のマスコットのぬいぐるみ、誕生日カード、プレゼントにもらった本の『Spurious Correlations(疑似相関)』。プレゼントがなんともアカデミック。

半地下の部屋の間取り

アメリカ留学時代に暮らした半地下の部屋の間取り。地下の空間は広々としていて夏は涼しく冬は暖かかったそう。

自分の好きなものに囲まれた暮らしの大切さを実感

アメリカから帰国後、上京してきた妹さんと都内のマンションで2人暮らしを開始。
現在の家に決めた大きなポイントは、天井が高くてリビングの窓が大きいということでした。

ほかにも物件を選ぶ際には、いくつかの譲れない条件が。駅から近いという利便性は大前提として、山口さん姉妹のそれぞれの部屋の広さが同じような間取り、リビングが広いこと、お風呂がきれいなことでした。

「今はリモートでの仕事が増えて、家にいる時間も長いし、妹がいないときはリビングで仕事をしているので、窓が大きくて光が差し込むリビングはとても気に入っています。インテリアには今までこだわりがなかったんですが、この家に引っ越してから、自分が心地いいと思えるものを揃えることにしました。住まいとか住環境に住むこと以上のものを求めるのって、ひとつの精神的余裕だと思うんです。そこに至るまで私は時間がかかったけど、今になってそれってすごく大事なものなんだなって分かりました」

●山口真由さん
東京大学を卒業し財務省に入省。退官後は、弁護士として都内の法律事務所に勤務。その後、ハーバード大学ロースクールへ留学し、ニューヨーク州弁護士に。帰国後には、東京大学大学院博士課程に進み日米の「家族法」を研究。現在は、信州大学特任教授。『「ふつうの家族」にさようなら』(KADOKAWA刊)など著書多数

※情報は「リライフプラス vol.40」掲載時のものです