お宅拝見

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塀、ありません。フィン・ユールの自邸のようなモダンな平屋

庭

家や店舗が点在する郊外住宅地の一角に建つモダンで愛らしい家。切妻屋根の「おうち」を2つ並べたようなその平屋が、Oさん家族の住まいです。敷地に塀はなく、なんとも開放的な構え。裏へ回ると原っぱのような広い庭が広がり、幼い兄妹が元気いっぱいに走り回ります。

建てたかったのはモダンデザインの大らかな平屋

外観群馬県に暮らすOさんは、夫婦と幼い子ども2人の4人家族。夫婦ともに平屋に住みたいと思っていたそうです。「夫婦どちらも総2階の家で育ちましたが、階が分かれると何かと不便だし、絶対平屋がいいと思っていたんです」(夫)。
庭と外観

住宅やデザインを好きな夫がイメージしていたのは、シンプルで大らかな家。北欧家具の巨匠フィン・ユールの自邸のような平屋でした。

エントランス

Oさんの家は、2棟の建物をフラットな低い屋根で連結する構成です。白くモダンで愛らしい佇まいは、確かにフィン・ユールの自邸に通じるものがあるかもしれません。

L字型の建物を2つのゾーンに分けて

設計したのは、東京の建築家、東端桐子さん。

庭側からの写真をみるとよくわかるのですが、建物はL字型で北棟(写真右側)がLDKのあるパブリックゾーン、西棟(写真左側)が個室や浴室などの水回りをまとめたプライベートゾーンに分けられています。

玄関を入って左に行くと、北棟のパブリックゾーンへ、まっすぐ行けば西棟のプライベートゾーンへ。

リビング

こちらが北棟の、家族みんなが集まるLDKです。庭に向かってデッキが続く広々としたシンプルな空間。正面の壁は、夫のリクエストで濃紺色に塗りました。ダークな色が空間を引き締めています。

ワンルーム

リビング側から見たダイニングはちょうどフラットな屋根の下。天井が低いので、落ち着きが生まれています。ちなみにダイニングテーブルは、ケヤキの古材とスチールを組み合わせたオリジナル。

キッチンはといえば、こちらもとってもシンプルなつくり。

キッチン

足元がオープンなステンレスカウンターに、正面の壁に白いタイルを貼って仕上げました。このキッチンやリビングダイニングからも、最小限のモノですっきりと暮らしている様子がうかがえます。

プライベート空間をまとめた西の棟

次にプライベート空間をまとめた西棟をご案内しましょう。

子ども室

廊下から、玄関方向を見たところ。子ども室と廊下を仕切る壁は、棚を造り付けてたっぷりの収納を確保。

廊下

さらに廊下の窓辺にはスタディコーナーが設けられていて、庭の緑を感じながら本を読んだり、勉強したりできます。

子ども室2

こちらは6歳の兄と3歳の妹のための子ども室。現在ひと部屋でつながっていますが、将来は2つに仕切る予定です。

浴室

西棟の入り口にある浴室は、少し変わったスタイル。

浴室内には置き型のバスタブを配し、木製建具で仕切っただけのシンプルでオープンな空間。廊下を隔てて庭に通じています。浴室の窓を開ければ、庭からの風が通り抜け、湿気対策も万全です。

納戸・洗面

玄関隣には広い納戸、玄関からすぐの位置には洗面コーナーを設置しました。納戸は夫の趣味であるDIY ルームを兼ねています。

洗面コーナーは、実験用流し台と肘でも操作できる医療用レバー式水栓金具を採用。子どもたちも帰宅後すぐに手洗いする習慣がつきそうです。

どの部屋からも見える原っぱのような庭

庭は敷地の東南の角にあり、家は庭を囲むように北と西に配されています。窓からの眺め

L字型に配置され、廊下にも個室にも庭側に窓を設けているので、どの部屋からも緑豊かな庭を見ることができるのです。

夫が樹木や芝生を植えたという庭はいい具合に緑が馴染んで、自然の原っぱのよう。子どもたちが思い切り駆けっこができるくらいの広さがあります。

遊ぶ兄妹

デッキそばの群生したシロツメクサが、より原っぱ感を感じさせてくれます。

シロツメクサ

家と庭をつなぐデッキもポイント。リビングの掃き出し窓からもすぐ庭へ出られます。

兄妹

庭は子どもの格好の遊び場であり、自然と親しむ場にもなっています。

周辺は古い住宅地で年配の住人が多かったことから、夫妻は当初、地域と人たちと馴染めるかどうか不安があったといいます。

ですが、家族の暮らしぶりが垣間見られるような家のつくりが幸いしてか、気候のいい時節の夕方ともなると、三々五々、表に出てきた近所の人とおしゃべりが始まることも。「お互い、缶ビール片手に、庭先で立ち話が始まることも珍しくないんです」と妻。

風が通るオープンな家は、笑顔が広がる人とのつながりもつくりだしてくれたようです。

※ご家族の年齢等の情報は「住まいの設計2016年9月号」掲載時のものです。

設計/東端桐子(ストレートデザインラボラトリー)
撮影/桑田瑞穂

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