住まいも会社も骨太が身上!200年後の安心を見据えて

家を建てる際に一番迷うのは、誰に建ててもらうかということではないでしょうか。
デザインや住宅性能、技術力はもちろんだが、忘れてならないのは人間的な要素です。
この先の長いお付き合いを考えると、ぜひとも信頼できる工務店に依頼したいですね。
その際の判断基準に工務店の社長があげられる。家づくりの姿勢や会社運営のポリシー、あるいは人柄などに共感できるかどうかで、幸せな家づくりができるかが決まってきます。
「住まいの設計」編集長が大喜工務店代表・藤田喜代次氏を直撃し、その本音に耳を傾けてみました。

東濃産檜の大黒柱が徹底的にこだわった家づくりを象徴する

「喫煙者、茶髪、ピアスの人は、完成見学会への参加はもちろん、そもそも家づくりの依頼自体をお断り。自分たちがとことんこだわってつくる家だからこそ、ふさわしい人に住んでもらいたい」

そんな強烈な思いと、見るからに頑固そうな藤田喜代次代表の風貌が相まって、ときには「スパルタな工務店」と呼ばれることもあるようです。
しかし実際に会って話を聞くと、“世話焼き話好き”の気のいいおっちゃん。単なる熱血漢ではなく、筋の通った理論派でもあります。

「うちのいちばんの売りが木材の自然乾燥です。特に東濃地方から直接仕入れている樹齢100~200年の檜は、900年間ずっと強くなり続けていくといわれています。それが安易に強制乾燥にかけてしまうと強度が大幅に落ちてしまうんです。シロアリを寄せ付けず、粘り強くて腐りにくいという、檜本来の特性も弱まってしまう」

大黒柱に使うのは太さ8寸以上の檜材と決め、ときには1尺以上のものを使います。
その極太の良材を10年ほど自社の倉庫で寝かせて自然乾燥させることで、いっそう強度が増します。
さらに、平屋でも3階建て仕様の基礎を採用し、建築基準法で定められた1.7倍以上の耐震性能を標準とするなど、世間から見ると過剰だと思われるほどの強度や耐久性を追求しています。
それでいて、資材の大量仕入れや家族的経営などの努力により、一般のサラリーマンでも手が届くリーズナブルな価格で提供。
徹底した本物志向の評判が口コミで徐々に広まり、最近では建築エリア外にまで熱心な“大喜ファン”が広がっているようです。

「この前は千葉市内で家を建ててほしいという人が来られたんです。普通は当然無理ですよ。でも、あまりにも熱心なので方法を考え、基礎屋さんから大工さんまで千葉市内の職人に研修に来てもらい、その人たちに工事をしてもらうことにしました。このほか、うちに相談に来る人は、へたなプロよりも知識がある人が多いのも特徴です。普通の会社やったら対応できないような専門的な質問もあるけど、大いに結構。実際にそこまで説明できるような仕事をやってきてるわけやからね」

中には、プランの打ち合わせがひととおり終わったあとも、「話をしているだけでエネルギーが充電される」と、藤田代表に会いに訪れる人も少なくないとか。
還暦を迎えて今なおパワフルな活力の源は、先代との激しい対立にもあるかもしれません。

大喜工務店の家に使われる大黒柱は、樹齢100~200年の東濃産檜で太さ8寸~1尺。
「建築基準法をクリアするだけでは不十分」という大喜工務店のこだわりを象徴します。

自宅の応接間が仕事場兼打ち合わせスペース。棚には造作家具の模型などが並ぶ。

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1. 10年ほど時間をかけて自然乾燥させた檜は見るからに骨太。
2. 木材を強制乾燥させた一例。内部に亀裂が生じているため地震などの衝撃で簡単に折れてしまいます。

先代のやり方と一転!3人の息子たちと力を合わせて取り組む

大喜工務店を創業した先代である父は宮大工出身で、修業に来た大工が逃げ出すほど厳しかったそうです。
藤田代表も高校時代、部活の合宿へすら行かせてもらえず、家業を手伝うことが多かったようです。
やがて大学へ進学して建築を学んだのち、「よその宮大工のもとで修業を積め」という父の意向に反し、当時滋賀県内でも気鋭の設計事務所へ就職しました。
「親父の古いやり方はもう時代に合わないと思いました。そこでまず実務経験を積み、一級建築士の資格を取得。その後は個人で設計事務所を立ち上げ、家の仕事も手伝ってたんです。親父からすると、大工は体を動かしてなんぼ。パソコンに向かって設計の作業をするのは遊んでるようなもん。喜代次はアカンっていつも言われ、毎日のようにケンカしながら仕事をしていました。それでも自分のやることを信じ、少しずつ時代に合わせて変えてきたわけです」

その先代も10年余り前に亡くなり、今は4人の子どものうちの3人の息子たちが、様々な形で家づくりに携わりました。
中でも将来の3代目として大喜工務店を支えるのが、長男の英喜さんです。
大学の建築学科を卒業後、設計事務所で実務を学んだのち、一級建築士として藤田代表とともに車の両輪として活躍してします。
また、次男の昌喜さんは家具製作会社「近江家具商人」として独立し、大喜工務店の家づくりでは造作家具を担当。
三男の利喜さんも「藤田緑彩計画」として独立し、エクステリアを数多く任されています。

「僕と英喜をはじめ、腕のいい職人さんたちのおかげで、今の大喜工務店があるようなもの。先代とは考え方が正反対やったけど、今は多少の違いがあっても全員が同じほうを向いてるんです。みんなが楽しみながらやってくれとるし、こんなに人生楽しくてええんかなと思います(笑)。それと忘れたらあかんのは、やっぱり嫁さんの力です」

大喜工務店の家づくりに携わるスタッフすべてが職人気質で、腕のよい精鋭揃い。それでいて誰もが気さくで作業現場は明るい雰囲気に包まれる。「みんな、いいやつばかりやろ」と藤田代表の自慢のひとつでもあります。

多忙を極めても依頼の順番待ちが多くても妥協は一切しない

主な業務は英喜さんと2人だけで行うため日々多忙。
仕事場で眠ってしまうこともあるなど家族旅行もままなりません。

「土日や祝日、連休や盆休みなどお客様の集中するときはどんどん打ち合わせなどをいれるため、平日でまだ予定が入っていないうちに旅行の日程を抑えます。平日などで旅先でも電話ばかり。『せっかく旅行に来ているのに』と叱られます(笑)」

思いのほかアットホームな一面に加えて、他人からでも助けを求められると危険を顧みず飛び込んで行ってしまうほど正義感が強いです。
だからこそ家づくりにおいてもイミテーションを嫌い、構造計算などのデータに裏付けられた本物にこだわっています。
どうしてもこなせる量は限られるが、無理に会社を大きくすることは考えていないようです。

「契約金も要らず常に後払いなどお金の安心もあり、建築の順番待ちが多く、今から依頼を受けても家の完成は2020年になるかもしれません。それでもしっかりとした家を建てたいという人だけが来てくれたらいいと思っています」

その言葉も決して上から目線でなく、家づくりに一切妥協はしたくないという藤田代表の覚悟がうかがえます。
絶えず見据えているのは、徹底した強さ。
そして、目先の工期や利益ではなく、100年後も200年後も住み継げる“安心”!なのです。

三男の利喜さんが設計・施工した自邸のエクステリア。敷地の広さを生かし、植栽や石積み、小道をゆったりと配しました。パーゴラではブドウやゴーヤの栽培を計画中。

【INTERVIEWを終えて】真面目に熱い大黒柱への思い

熱い熱すぎる!
おもわず「熱盛っ!」と言いたくなるほど木材への愛に満ち満ちた社長でした。
特に檜の大黒柱愛は生半可じゃなかったですね。
それというのも、すべては「強く長生きする家をつくるため」なのです。
社長いわく「借金してでも木を買う。そして自然乾燥させた強い木を使う。昨日今日切り出してきた木は使わない」。
そんな社長の姿勢に共感する工務店他社や建築家など家づくりのプロもたくさんいます。
妥協しないという姿勢の裏には、建主となる人も「家づくりに妥協してほしくない」という思いがあるのです。
そんな社長を陰で支える奥さまも妥協しないでゲットしたようでした。

大喜工務店が設計・施工を手掛けた作品の一例を紹介!

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3. 和風建築が主体の大喜工務店だが、リクエストに応じて欧風のデザインも柔軟に取り入れています。この家は白い塗り壁とアーチ型デザインが印象的。
4. 屋根裏を活用してLDK の上に広々としたロフトを確保。しっかりとした構造の安心感と開放感を両立させています。

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5. LDK 内で一際目を引く9寸角の檜の大黒柱は、インテリアとしても美しく映えています。
6. LDK にアップフロアの畳コーナーを設け、大空間にメリハリも。

工務店プロフィール

社名:大喜工務店

所在地:滋賀

建築エリア:滋賀県 京都府南部 (そのほかの都府県は要相談)

本物の家を求めて、遠方からの依頼も増えています

上質の檜材を銘木の産地から直接仕入れ、自社倉庫で長期自然乾燥させて大黒柱などに使用。3階建て基準のベタ基礎や2階でもグランドピアノが置ける仕様を標準とし、すべての家が基準の1.7倍以上の耐震性能を誇る。さらに柱・梁・床・天井などを無垢材で構成し、壁にオリジナルの珪藻土などを用いた“無添加骨太高断熱住宅” を推進。過剰だと思われるほどのこだわりを貫き、大手建築会社に勤める幹部から家づくりを依頼されるほど信頼は厚い。

大喜工務店

「檜材は銘木の産地・東濃地方から直接仕入れ、自社で長期自然乾燥しています」と代表の藤田喜代次さん

  • ●社名/大喜工務店
  • ●代表/藤田喜代次
  • ●住所/滋賀県東近江市平田町764
  • ●電話/0748・22・0028
  • ●年間建築棟数/新築30棟
  • ●設立/1952年1月

藤田喜代次

2代目社長に就任して以来、自然乾燥材を使用した「無添加骨太住宅」事業を推進。社長と同じく一級建築士の藤田英喜さんとともに、プランから完成まで家づくりの全工程に携わる。

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