「住宅の真価」を問う建築家として新たなプロジェクトを始動!

デザイン、安心できる性能や技術。家を建てるときに気になることは数々ありますが、忘れてならないのは人間的な要素です。
工務店と建主との長いお付き合いが始まるからこそ、信頼できる会社に家を建ててもらいたいもの。
今回の社長インタビューは関東一円を建築エリアに持つますいいリビングカンパニー代表取締役・増井真也氏にご登場いただきました。
ますいいリビングカンパニーの会社運営のポリシー、その人柄などについて、「住まいの設計」編集長が増井氏の内側に迫りました。

建築家として新スタイルの会社に挑戦

3階部分がせり出した特徴的な建物が、ますいいリビングカンパニーの社屋です(上の写真は竣工当時の社屋)。

社屋の中に入ると木の温もりにあふれ、ジャズが静かに流れていました。
そこにパッと笑顔で現れたのが、同社の代表取締役・増井真也氏。
「僕が育った川口市は鋳物の生産が有名で、家族も機械加工などに携わっていたので子どもの頃から『ものづくり』が身近に」と、快活に語り出してくれました。

成長した増井氏は、早稲田大学理工学部建築学科を卒業し、大手ゼネコンに就職。
「ゆくゆくは建築家として工務店をやりたかったので」と、今から19年前に、大学の恩師であり、当時、早稲田大学の教授だった建築家の石山修武氏のもとを訪ねたそう。
「先生から『建築家が工務店機能を備えた会社をつくれば、ローコストを望む人に喜ばれる』と背中を押され、その後1年かけて先生のゼミに通い、ローコストかつこだわりのある住宅を提供するために何をすべきかを研究しました」と、設立の経緯を振り返ってくれました。

社屋について「もとは自宅兼オフィスとして、石山先生に設計してもらったんです。『建築家が施工も担う会社なら、技術力やデザイン力の象徴となるように』と、考えてくださいました」とうれしそうに語る増井氏。
社名の「ますいい」は、増井氏の「ますい」+石山氏の「い」の組み合わせ。そこに石山氏への尊敬の念と感謝が見て取れました。

また会社のポリシーについて、「家づくりの過程はもっと自由であるべきだと思い、セルフビルドを推奨しています。家族で壁を塗ったり、建主がプロならば自分の専門分野の工事をしたり。建主の9割以上がセルフビルドです」。
また、部材も1本から原価を公開し、建主が費用のかけどころを考えられるようにしているとか。
「これも、ローコストとこだわりを両立するために大事なことです。そして最も重要なのが、建築家として建主の思いを設計し、ひとりの建築家が責任を持って設計から現場管理までを行うこと」と、会社のあるべき姿を熱く語ってくれました。

石山氏の作品として、竣工時の自宅兼オフィスが紹介された雑誌を手に、「この1階を当初は事務所として使い、2・3階を自宅として使っていたんです」と、当時を振り返る増井氏。

日本の伝統的な建築にも造詣の深く茶の道も心得ている増井氏。写真は、愛用の道具。

「茶室の知識は中村昌生さんがいちばんだと思うので」と、中村氏の本を基本に揃えた資料が、打ち合わせ室の棚にずらりと並んでいます。
「『聴竹居』の実測図集などもあります」と増井氏。

人との交流で視野を広げ、心を持って行動に移す!

目指すべき道をしっかりと見据え、幅広い交流によって常に新たな発見や刺激を受けている増井氏。
「今でも、石山先生をはじめ難波和彦先生や安藤忠雄先生などとお目にかかりますが、こうした方々から建築の話を伺えるのは貴重ですし、楽しいです」と、少年のように目を輝かせていました。

さらに、「群馬でカラ松の無垢床を製材しているおじいちゃんが大好きで、お菓子を持って会いに行っては、いろいろな話をするんですよ」と様々な人との交流も深めている様子でした。
ほかにも、地元の公団の一戸でギャラリーを運営しているが、「ここは、無名のアーティストの発表の場であり、そうした作品を住まいに取り入れたいと思う人の出会いの場として活用してほしい」と思いを語ってくれました。

ちょうど取材の日は、近所の中学校で行う講演の準備中でしたが、「自分の知識や経験でできることは、どんなことも協力するのがポリシーです」と、ほがらかに笑う彼を見て、この明るくやさしい人柄が人の輪を自然と広げていくのだと感じました。

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1. 増井氏が手掛けている家の模型や間取図。
2. スタッフルーム。

住宅設計を軸に新たなるステージへ

「設立当初は、建築家が工務店機能を備える会社はほとんどなく、一番手として走ってきたという自負があります。今では随分増えたので、次の10年先に向けて、より社会的意義のある取り組みをしていきます」。
そんな増井氏の心を大きく占めているのが、失われつつある日本の伝統文化。
上の写真は10年先の活動を示したイメージマップです。
「“社会活動”の枠に『日本の伝統文化』を、“消費者による施工” の枠に『セルフビルダー向けのリフォームサイト』を位置づけるなど、活動は様々」と語ってくれた増井氏。

そして「建築家の村野藤吾さんなどは、数寄屋の設計ができたうえでモダンを設計されたけれど、これから先、和室や茶室の設計をあまり知らない人が活躍する時代になっていく。このままでは日本の伝統的な建物をつくれる者がいなくなる」と現状を危惧していました。
そうならないために増井氏は、茶道を通して茶の心を知り、本物の茶室を見学するなどの研鑚を積むことも忘れていないとか。
「決して数寄屋に偏るわけではなく、今の日本にふさわしい家をもっとデザインしたい。例えばリビングの扉に和の要素を盛り込んだりね。これが、日本の文化を形成する建築家としての手段だと考えます」。
また、リノベーションの情報交流サイトの企画や、畑での野菜づくりを通して近郊農家の暮らしの魅力を広めるなど、活動は多岐にわたっています。

「自分にしかできないことに挑戦するのがとても楽しい。70歳ぐらいになったら、お茶を点てながら茶室を設計し、畑で野菜をつくっているんじゃないかな」と最後に笑って語る増井氏でした。

様々なアーティストが作品を発表するギャラリーで個展を開催したときは、今まで設計・施工した約150件の家をパネルにして展示したそう。

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3. ワークショップでは、銅のちりとりづくりを通して来場者にものづくり体験をしてもらっています。
4.増井氏のデスクの上に置かれた手づくりのちりとり。その上に、娘さんから誕生日祝いにもらったリスを飾ってインテリアに。

【INTERVIEWを終えて】漠然としたイメージを自らカタチにする気概

幼い頃からものづくりにかかわる大人たちを見て育ってきた増井氏。
長じて建築家と工務店を融合するというスタイルの工務店を興したのには、その影響もあったのかもしれませんね。
家づくりにかかわる中での一貫したポリシーは「人の求められることをカタチにし、提供していく」ということです。
漠然とした「人が求めていること」にいつも心を配り、想像し、見える化し、提案していく増井氏。
手堅いながらも冒険心にあふれるチャレンジャーとみましたよ!

工務店プロフィール

社名:ますいいリビングカンパニー

所在地:埼玉

建築エリア:関東一円

既成概念にとらわれない家づくりを!

ますいいリビングカンパニーは、工務店機能を持つ設計事務所。代表の増井真也氏を中心に建築家集団として活動し、高い提案力と設計力で、住宅・店舗の新築やリノベーションを数多く手掛ける。リーズナブルな見積もりでも無垢材などの自然素材を多用するほか、建主に応じたセルフビルドの推奨や工芸家とのコラボレーションなど、魅力ある家づくりの実現に向け、多彩な手法で追求する。

ますいいリビングカンパニー

個性的なデザインの社屋と増井代表。自ら積み上げた枕木の階段が特徴的。

  • ●社名/ますいいリビングカンパニー
  • ●代表/増井真也
  • ●住所/本社/〒332-0032 埼玉県川口市中青木3-2-5 町田分室/〒195-0062 東京都町田市大蔵町494-5
  • ●電話/本社/048・254・8021 町田分室042・737・3157
  • ●年間建築棟数/新築15棟 リフォーム10棟
  • ●設立/1995年

増井真也

1974年埼玉県生まれ。'97年早稲田大学理工学部建築学科卒業。ゼネコンに勤務し、現場管理の経験を積んだあと、ますいいリビングカンパニーを設立。設計のみの依頼にも対応している。

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自然素材の家